季節のことば「半夏生」

 塾講師をしていると、時の流れが非常に速く感じられます。次から次へと行事がやってくるというのも1つの理由だと思いますが、もちろん充実した授業・指導ができているからだと思いたいし、またそれは、一生懸命に真剣に取り組んでいる塾生たちのおかげでそのような充実感が感じられるのだとも思っています。

 今年も中学生の期末試験が終わったと思ったら、いつの間にかとっくに夏至を過ぎて7月に入ってしまいました。今はもう一日ずつ昼の時間が短くなってきているのですね。これからが暑さ本番だというのに不思議な感覚です(その理由は中学2年生の3学期の理科で学びます。中学3年生の生徒たちは当然もう理由を知っていますね!?)。

 さて7月になると、私はいつも「半夏生」という言葉を思い出します。「はんげしょう」と発音するだけでもどこか神秘的な響きがしませんか? 夏至から数えて11日目(だいたい7月2日になります)から七夕までの約5日間、つまり夏至の終わりの5日間をさします。半夏(別名カラスビシャク)という薬草が生えるから、というのが名前の由来ですが、日本では昔からこの日(期間)は「〜してはいけない」という物忌みの多い日としても知られています。

 「半夏生より後に田植えをするな」とか「半夏生に竹林に行くな」とか(この頃、竹の花が咲いたり消えたりという珍しい現象が起き、それを目撃すると死ぬという言い伝えから)。実は私が初めてこの言葉を知ったのも「半夏生の日には死んだ人の名を呼んではいけない」という小説でした。だから尚一層、私の中で「半夏生」という言葉は神秘的なのです。どんな小説なのか気になる人は、阿刀田高氏の「鈍色の歳時記」という本を探してみて下さい。「半夏生」以外にも、いろいろな季節に関する言葉を題材にした小説が詰まっています。

 とにもかくにも、7月がスタート! 夏休みが迫ってきていますね。

                                          

            

                                         はなぶさ通信 第34号(平成19年7月3日発行)より

           

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