おかげさまで70号〜「70」について
おかげをもちましてこの通信も今回で70号となりました。いつもはこの通信で偉そうに説教じみた事をつぶやいていますが、今回は「70」という数字にちなんだ数のお話を紹介したいと思います。
まず最初に!(階乗)という数学記号の話をします。高校生はすでに学習済みですが、!という記号は「1から順にその数字まで掛け算しなさい」という記号です。例えば 4!=1×2×3×4=24、 7!=1×2×3×4×5×6×7=5040 となるわけです。この記号は1つ数字が大きくなるだけで雪だるま式に大きくなり続け、70!は次のような数になります。
70!=11,978,571,669,969,891,796,072,783,721,689,098,736,458,938,142,546,425,857,555,362,864,628,009,582,789,845,319,680,000,000,000,000,000
何と101桁! もう読むことすらできません。
ところで世の中にはいろいろな事を発明する人がいるもので、10の100乗(つまり1の後ろに0が100個並ぶ、1000…000という101桁の数)という巨大な数に単位をつけた人がいるのです。その単位は「1グーゴル」。命名したのはさる有名な数学者の息子で、当時9歳になる少年でした。以来この「グーゴル」という単位は巨大な物の代名詞になり、インターネットの巨大検索システムgoogle(グーグル)もこの単位をもじったものです。ちなみに水泳で身に付ける「ゴーグル」はまったく関係ありません。
70!という先ほど紹介した数字は、この1グーゴルに比較的近い数字として数学の世界では知られています。しかしこんなに大きい数、一体何に使うのでしょう!? 今現在確認されている全宇宙空間に存在するすべての原子(物質を構成するとても小さい粒)の総数よりも大きい数だという話ですからね…。しかも上には上があるもので、10のグーゴル乗という単位も作られたそうです。こちらの単位は「1グーゴルプレックス」と言います。まぁ日常生活にはまったく関係なさそうです。
最後に実生活に役立ちそうな話題も提供します。60歳のことを日本では「還暦」と呼んでお祝いをしますが、70歳は「古希(または古稀)」と言います。中国の詩人杜甫がその詩の中で「七十生きる人は古来より稀なり(70歳まで生きる人は昔から非常に少ない)」と書いたことに由来しています。現在、大相撲の連勝記録は横綱双葉山の69連勝ですが、双葉山が負けて連勝が途切れた一番で実況のアナウンサーが「双葉山70連勝ならず! やはり70は古来より稀なり!」と叫んだことはとても有名な話です。でもちょっと古い話でしたかね…。1939年のお話でした。
はなぶさ通信 第70号(平成20年11月25日発行)より