「ライバル」か、ただの「仲良し」か?

 まず最初に断っておきますが、今回の話は第33号にして初めて壮大な「塾長の自慢話」になってしまうと思います。普段はどちらかと言えば奥ゆかしい(!?)私に免じて、今回は許してやって下さい。

 私にはかけがえのない友人がたくさん(でもないか)います。が、その中でも中学生時代、本当の本当にライバルであったS君という友人がいました。彼とは中学校も高校も同じでしたが、特に高校時代は通学途中(もちろん帰り道です)によく一緒にゲームセンターに通っては、遊び回っていました。ただ私が今でも自慢できることは、彼とはただ「仲が良かった」というだけではなく、お互いに本気で競い合う「ライバル」でもあったということです。

 私が中学1年生になって初めての中間テスト(さぁ自慢話の始まりですよ!)、私の成績は学年でトップでした。得点は5教科合計で476点。その成績個票は今も家にあります。学年の人数は300人強でしたからその嬉しさは格別でしたが、それなりに一生懸命にやったので「これくらいの結果が出ても当然かな」と思っていました。そしてその次の期末テスト。5教科472点。まぁ同じくらい頑張ったしね…と思いゆったりとしていたところ、学年順位は2位。その時に私を抜いてトップを取ったのが、前出のS君でした。

 クラスも部活も別でしたが、彼とはだんだんいろいろな話をするようになり、彼がそれなりに遊んでいるということも知りました。普段は仲が良かったですが、テストに関してだけは3年間、本当の意味でのライバルでした。その後の中間テスト・期末テストでは(まだ自慢話は続きますよ!)要領も分かってきたこともあり480点台に乗ることも当然のようになってきましたが、S君もやはり同じように伸びてきて、自分がトップになった時は充実感の中で喜び、自分が2位だった時は「自分も相当やったけど彼の方がたくさんやったんだなぁ」と納得して、次回のテストではまたライバル心を燃やしていました。

 2年生の2学期中間テストでは(さぁ最後の自慢話ですよ!)2人ともとうとうピークに達し、たまたま出題された問題傾向とも相性があったのか、5教科合計496点という得点でトップになりました。この時S君は5教科合計495点で2位。きれい事ではなく、「ライバルと向上しあう」って本当にあるんだなぁ、と心から思いました。496点という得点を記録できたのも、3年間1位・2位でいられたのも「ライバル」がいたからだと思っているし、恐らく口には出しませんが彼もそう思っていることと思います。男同士だし、「一緒に勉強」なんてチャラチャラしたこともしませんでしたが、どちらからともなくテストの度に相手を意識していた日々を思い出します。

   

 彼とは中学3年間は同じクラスにはならず、高校3年生で初めて同じクラスになりました。彼は東大の医学部に現役で合格し、現在は放射線科の医師として働いているので、私とはまったく違う畑にいます。よって30歳を越えた今、特にライバル心はありませんが、年に2回は学生時代のようにマージャンをして遊んでいます。

 長々とした私の武勇伝でしたが、さて中学生の皆さん。学校でも塾でも「仲のいいライバル」はいますか? 普段仲がいい、ただそれだけの関係ならば、恐らく一緒に他人の陰口をたたいたり、お互いの傷をなめあったりするだけのただの「お友達」です。私とS君の関係がたとえ周囲から「勉強でつながる友情なんてなんか暗いねぇ」とバカにされたとしても、そんなただの「お友達」なんかよりもはるかにいい友人であると私は自信を持って言い切ることができます。

 「勉強で競い合うなんて恥ずかしい」と思っているなら(ま、思うのは自由ですけど)、私にとってはそんなチャラチャラした「友達ごっこ」こそ、本当に恥ずかしい…。

                                        はなぶさ通信 第33号(平成19年6月19日発行)より

                  

 塾長のエッセイ集トップへ戻る
 塾長のページトップへ戻る