解答23:生きのびる確率は?(21年8月後半出題)
答え→ツボは100個、または101個
まずはツボが1個、そこに白玉100個・黒玉100個を入れる場合を考え、そこで死刑になる確率(黒玉をひく確率)を考えてみます。確率は「そのツボを選ぶ確率×そこから黒玉をひく確率」を計算し、それをすべてのツボ分足します。
ツボ1個の場合 | |||||
ツボの名称 | 白玉 | 黒玉 | そのツボをひく確率 | 各ツボから黒玉をひく確率 | 黒玉をひく(死刑となる)全体確率 |
ツボ1 | 100 | 100 | 1 | 0.5 | 0.5(50%) |
次にツボを1個ずつ増やして2個の場合を考えてみます。しかし各ツボに白玉50個・黒玉50個を同じように入れたのでは、次のように死刑の確率は0.5のままで変わりません。
ツボ2個の場合 | |||||
ツボの名称 | 白玉 | 黒玉 | そのツボをひく確率 | 各ツボから黒玉をひく確率 | 黒玉をひく(死刑となる)全体確率 |
ツボ1 | 50 | 50 | 0.5 | 0.5 | 0.25+0.25=0.5(50%) |
ツボ2 | 50 | 50 | 0.5 | 0.5 |
有利にするには次のように「白玉のみ」の入ったツボをつくることが必要です。こうすることによって、もし王様がツボ1を引いた時点で「よっしゃ!!」となるからです。
ツボ2個の場合 | |||||
ツボの名称 | 白玉 | 黒玉 | そのツボをひく確率 | 各ツボから黒玉をひく確率 | 黒玉をひく(死刑となる)全体確率 |
ツボ1 | 1 | 0 | 0.5 | 0 | 0.2513(約25%) |
ツボ2 | 99 | 100 | 0.5 | 0.5025 |
このようにツボをどんどん増やしていき、そのツボのうちほとんどを「白玉のみ」で埋めてしまえば、死刑の確率はどんどん減っていきます。例えばツボが10個の場合を考えてみましょう。
ツボ10個の場合 | |||||
ツボの名称 | 白玉 | 黒玉 | そのツボをひく確率 | 各ツボから黒玉をひく確率 | 黒玉をひく(死刑となる)全体確率 |
ツボ1 | 1 | 0 | 0.1 | 0 | 0.0524(約5%) |
ツボ2 | 1 | 0 | 0.1 | 0 | |
ツボ3 | 1 | 0 | 0.1 | 0 | |
ツボ4 | 1 | 0 | 0.1 | 0 | |
ツボ5 | 1 | 0 | 0.1 | 0 | |
ツボ6 | 1 | 0 | 0.1 | 0 | |
ツボ7 | 1 | 0 | 0.1 | 0 | |
ツボ8 | 1 | 0 | 0.1 | 0 | |
ツボ9 | 1 | 0 | 0.1 | 0 | |
ツボ10 | 91 | 100 | 0.1 | 0.5236 |
ではどんどんツボを増やしていけばいいのかというと、そうでもありません。ツボは100個または101個の時が死刑の確率はもっとも減ります。ちなみにツボが100個の時を考えてみましょう。この場合、ツボ1〜ツボ99までのどれかを選んでくれた時点で「無罪放免」が決定します。ただし、ツボ100を選ばれてしまうとほぼ死刑が確定してしまいますが、その確率は1%ですから…
ツボ100個の場合 | |||||
ツボの名称 | 白玉 | 黒玉 | そのツボをひく確率 | 各ツボから黒玉をひく確率 | 黒玉をひく(死刑となる)全体確率 |
ツボ1 | 1 | 0 | 0.01 | 0 | 0.0099(約1%) |
ツボ2 | 1 | 0 | 0.01 | 0 | |
… | |||||
ツボ98 | 1 | 0 | 0.01 | 0 | |
ツボ99 | 1 | 0 | 0.01 | 0 | |
ツボ100 | 1 | 100 | 0.01 | 0.9901 |
ツボが101個でも計算上は同じ事なのですが、102個を越えると今度は「黒玉のみ」というツボができあがってしまい、死刑の確率は増えていってしまいます。そしてツボの数が200個になるとすべてのツボに200個の玉が1個ずつ入ることになり、再び死刑の確率はもとどおりの50%に戻ってしまいます。
まぁどれだけ確率を考えても、運が悪い人は死刑になってしまう、それが確率の「数学らしくない」ところなんですけどね。