第100回 荘川(岐阜県大野郡荘川村)→高山(岐阜県高山市)

平成16年11月21日 晴れ時々曇り 43.0q 9時間40分

霧の飛騨荘川、そして新しい始まりへ…

 学生時代から細々と続けてきたこの徒歩旅も、いよいよ今回で区切りの100回目です。第2回目からは「次のウォーキングまで2ヶ月以上あけない」というルールのもと、約5年間頑張ってきました。まさに「塵も積もれば山となる」で、歩いた距離も前回までに2200qを超えました。

 今回はそんな区切りの回にふさわしい長大なウォーキングになりました。晩秋の11月下旬、まだまだ暗い早朝6時に、前回の終着地となった道の駅「桜の里荘川」に車を置き、意気揚々と出発しました。

 「意気揚々」とは書きましたが、まだ暗いうちに歩き出すのは実はちょっと怖いもの。しかも道の駅を離れるとしばらくは街灯も少なく、結構足下まで見えなくなったりします。ほんの少しだけ明るくなり始めたのは三尾河地域にさしかかった頃で、気付くと周囲は見渡す限り山々に囲まれていました。それすら分からないくらいの暗闇だったのです。

 それでも太陽が昇ってくると天気は快晴! 季節は抜群! 周囲には満ちあふれるほどの大自然! う〜ん素敵な一日になりそうだ!

 六厩地域にちょっとした公衆トイレと休憩所があり、ここで小用を足してさぁ本格的にウォーキング開始。すると…

 さっきまで快晴だったのに、視界の先には深い深い霧が! おいおい、すごい霧だなこれは。しかも天気は相変わらずの快晴なのに、ますます霧は深く…。

 実は岐阜県荘川村は、知る人ぞ知る「霧の街」なのです。毎年この10月下旬から11月になると、毎朝深い深い霧が発生するのです。しかもこの霧は約1時間ほどできれいに消えてしまう。理由ははっきりとは分からないのですが、この村では11月に霧が発生することによって「自然の水の循環がうまくいっている」ということが分かるらしいです。この朝の霧を見る限り、この地方では今年も大自然の水の循環はうまくいっているようです。

 荘川村から清見村に入ると、上小鳥(かみおどり)という地域で東海北陸自動車道と並びます。この近くの松ノ木峠は標高1085mで、全国の高速道路標高としては最高地点となります。歩いていると(車で走っていても)それほど急な坂を上るわけではないので「えっ! そうなの?」という感じですが、まぁもともとかなり高いところを歩いているということなんでしょうね。ちなみにここにできる予定の松ノ木パーキングエリアも、当然のようにパーキングエリアとしては全国最高標高となるはずです。

 ここから少しずつ道は下り始めます。ゆったりゆったりと標高を下げながら、それでもまだまだしばらくは集落は見当たりません。そしてようやく一軒、右手に民家が見えてくると…。なんと二匹の子犬が放し飼い!! おいおい、大丈夫か? と思っているのも束の間、彼ら(彼女たちかも)はサ〜〜ッと僕の方に近寄ってきて、かわいい声でほえるほえる。まぁ子犬だから噛みはしないだろうとは思いましたが、しばらく後をついてきてしまうし、ずっとずっとほえ続けるし、少々往生しました。結局まったく噛むそぶりもなく、自宅の方へ戻っていきましたが…。

 飛騨清見インターチェンジの脇にちょっとした定食屋さんがあったので、そろそろ朝食にでもしようかなと思い、店へ入っていきました。時刻は10時30頃になっていたので朝食兼昼食になってしまいましたが、お腹もすいていたので非常においしい食事となりました。ここからは少しずつ人間の気配がし始めます。

 次のインターチェンジとなる高山西インターチェンジの入り口には、道の駅「ななもり清見」があり、いよいよ高山市が目前となってきました。ここの道の駅はかなり人でにぎわっており、僕もフランクフルトを食べて小休止をしました。今ではここはすでに高山市に編入されてしまっていますが、当時はまだまだ清見村でした。清見村は非常に広い面積を持つ村で、同じ清見村の南部には「パスカル清見」という別の道の駅がもう1つ設置されていたほどでした。

 高山市に入るとすぐ小さなバス停があり、ここがスタートからの2250qポストとなりました。実は前回の旅日記の最後に「新記録達成」と書きましたが、それはこの「50qポスト」に関わるものだったのです。第1回の出発から50qごとに「50qポスト」を設定していますが、3回連続のウォーキングで50qポストを通過したのは初めてなのです。つまり第98回で2150qポスト、第99回で2200qポスト、そして第100回で2250qポストを続けて制覇したということ。これは連続した3回の歩行距離が100qを越えた上で、さらにタイミングよく50qポストが存在しないと達成できません。平成21年現在、後にも先にもこの3回だけです。

 さぁ高山市に入りました。記念すべき第100回のウォーキングも終わりを迎えようとしています。僕が有名人であれば、きっとゴール地点の高山駅で応援部隊が拍手して待っていてくれるのでしょうが、残念ながら(当然のごとく)誰も出迎えてはくれませんでした。高山駅到着は午後3時40分。バスの出発は5時だったので、駅前の喫茶店に入りゆっくりとコーヒーをすすりながら100回の行程を振り返りました。そして考えました…

 ここまで100回頑張ってきたけれど、どちらかと言えば距離にばかりこだわっていたような気がしました。ここで100回を越えたのをきっかけに、少しゆったりと歩く旅に切り替えてみようかなぁ。まずは「必ず2ヶ月以内に1回」というルールを捨て、ほんの「趣味」に戻すことにしました。そしてウォーキングの前後を割いて、近くの観光もしてみよう。そんな今までとは一味違ったウォーキングが、101回目から高山駅を出発します。まずは次回、飛騨古川まで、お楽しみに!

 この日のウォーキングは後日談があります。まずは帰り道、高山駅から荘川まで戻るバスの運転手が道を間違え、車内放送で謝罪しながら正しい道へ戻って行くという一幕がありました。おかげで荘川への到着はかなり遅くなり(とは言っても7時頃ですが)、車のフロントガラスは凍ってしまっていました。

 また、今回はさすがに歩いた距離が長すぎたようで、翌日右足人差し指の爪がはがれてしまいました。しばらく靴下をはくのにも苦労することになりました…。



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