第99回 美濃白鳥(岐阜県郡上市)→荘川(岐阜県大野郡荘川村)
平成16年10月31日 曇りのち小雨 33.3q 7時間40分
二度と出会わない悲しき別れ…
ここまでゆったりとした美濃路を進んできたウォーキングも、今回からは山を越えて飛騨地方に入ります。すでに美濃白鳥駅から北を眺めると、大きな大きな大日岳が立ちはだかっています。
実は美濃白鳥から進むべきルートの候補は、当初は2つありました。1つは西へ向かい、油坂峠を越えて福井県へ向かうというもの。前回の旅日記で触れた越美北線(通称九頭竜線)の沿線から福井市へ向かうことになります。もしこのルートを選べば、出発地の美濃白鳥駅から九頭竜線の終着駅である九頭竜湖駅までの23qあまり、駅はおろかバス停もありません。しかも峠道のため、通る車の数もとても少ない。23qという距離はそれほど長い距離ではありませんが、「もしも」の時を考えるとこのコースはやはり敬遠せざるを得ませんでした。
そこで結局、北上して荘川村、そして高山市へ向かうルートが選ばれたのです。このルートはしばらくは長良川鉄道も併走してくれているし、何よりもバス路線なのでバス停があるというのが心強い。
白鳥郵便局、道の駅「白鳥」を過ぎると、その長良川鉄道も終着駅の北濃(ほくのう)駅となります。始点の美濃太田駅とは非常に対照的な寂しい無人駅で、この駅が現役で使われているのかどうかも疑わしいほどでした。実際に災害などで美濃白鳥駅〜北濃駅は不通になることも多いようです。
さぁここからはいよいよ上り坂になります。右手には長良川(ここはほぼ最上流と言ってもいいでしょう)、左手には切り立った崖がそびえています。道路脇には例によって「落石注意」の看板が設置されているのですが、ここの看板のイラストは巨大な崖(擬人化されている)が車に向かって岩を投げつけているという、なかなかシュールな物。この看板を見ながら、もちろん上から岩が降ってこないか確認もしながら、順調に歩を進めていきました。
坂を上りきった辺りが大日岳。別名を「ひるがの高原」と言います。よくCMで見かける牧歌の里もこの近くにあります。国道沿いの右手には道の駅「大日岳」があり、ここは全国でもっとも小さい道の駅だという話でした(現在でもそうなのかは分かりません)。
このひるがの高原には国道左手に「ひるがの分水嶺」があります。分水嶺とは、降った雨が両方向に分かれて流れていくその分岐点に当たる場所のことで、この分水嶺より北に降った雨は庄川として日本海へ、南に降った雨は長良川として太平洋へ注ぎ込みます。。第38回の旅日記では、ここより少し東にある鳥居峠(こちらは信濃川と木曽川の分水嶺)を分水嶺として紹介しましたが、このひるがの分水嶺は国道沿いにあり、本当に「手軽に見られる」分水嶺と言えるでしょう。まさに日本海と太平洋へ分かれていく分岐箇所も間近に見られ、ほんのちょっとしたズレからここで別れた水は、お互い未来永劫出会うことはないのだなぁと考えると、とてもしんみりしてしまいます。人間の人生もそんなものですよね…。
この先にひるがのスキー場の正門ゲートが右手に見えてきますが、その正門ゲート前がスタートからの2200qポストになりました。この日はもちろんまだスキー場はオープンしていませんでしたので、雪のない緑色の斜面に動いていないリフトが寂しげでした。何だか今回はしんみりすることが多いなぁ。
高原を過ぎると徐々に道は下り坂に変わり、郡上市から荘川村に入ります。道は一本道で、クネクネと曲がりながら三叉路にぶつかるとそこは牧戸交差点。国道どうしの合流点ですが、交通量がそれほどないためか信号機は設置されていません。左へ曲がると合掌造りで有名な白川郷へ、右へ曲がると飛騨の中心地である高山市へ。本当は白川郷へ向かいたいのですが、左のルートは非常に危険なトンネルの目白押しなので、今回は右へ進路を取りました。
荘川村役場を越えると、しばらくして右手に道の駅「桜の里荘川」が見えてきます。今回はここを終着地とし、バスでひるがの高原に置いてある車まで戻るという計画でした。しかし意外にも予定以上に歩くのに時間がかかり(アップダウンがあったからでしょうかね)、乗るはずだったバスの発車時刻が迫ってきてしまいました。「やばいこれを逃すと、次のバスまで2時間以上待つことになる!」
最後はちょっと小走りになってしまいました。着いたのはバスの発車時刻の7分前。ふ〜〜っ、良かった良かった。予定のバスにしっかりと乗り込みました。バス停を終着地としたのは第83回の横沢バス停(静岡県)以来16回ぶりです。
この桜の里荘川には、2種類の会社のバスが来ています。1つは今回お世話になる、ひるがの高原方面へいくバス。こちらは「岐阜バス」が運行しています。そしてもう1つは高山や白川郷へ向かう「濃飛バス」。つまり岐阜県の南部と北部を管轄するバス会社の路線が、ここでぶつかることになるのです。その意味で荘川村は「岐阜県の交通の中間点」と言えるでしょう。
次回は記念すべき第100回目。43qという長距離を歩き通して高山に到着します。そしてもう1つ新記録が誕生します!!