第102回 飛騨古川(岐阜県飛騨市)→坂上(岐阜県飛騨市)
平成17年4月30日 曇りのち晴れ 16.9q 4時間10分
大自然の前で、人間は無力だ!
前回からいよいよ岐阜県も最北の飛騨市に入りました。愛知県民にとって岐阜県と言えば「隣県」になりますが、さすがに飛騨地方は「遠い異国の地」というイメージがあります。一年中雪に埋もれた奥深い山村…(実際にはそんなことはもちろんありません)。
飛騨古川駅を出発し、国道41号線を少しだけ北上していくと、大きな分岐点に差しかかります。富山に向かうための大きな分岐点になります。自動車で富山に向かう際には、このまま国道41号線を進むことをお薦めします(というより普通に車で走っていればそうなります)。国道41号線は数河(すごう)高原という峠を通りますから道のアップダウンは激しいですが、バイパス化されている上に信号機もほとんどないので快走路です。またノーベル賞受賞者である小柴教授の研究施設「スーパーカミオカンデ」がある神岡町にも通じています。
それに比べて分岐していく国道360号線の方は、狭小路が続きます。曲がりくねっているし、信号機はこちらもほとんどないのですが、初心者が自動車で走るには少し怖いかも知れません。しかしアップダウンはほとんどなく、大型車両もほとんど山向こうの国道41号線の方に回っているので、ウォーキングするならこちらを選ばない手はありません。ちなみにJR高山本線もアップダウンの少ないこちらのコースに沿って走っています。
分岐点の交差点には信号機はありませんが、公衆トイレが設置されています。なぜならここから先、コンビニは皆無だからです。そしてこの公衆トイレ、自動車で走っていてもすぐに気付きます。なぜならこのトイレには大きな看板が掲げてあり、そこにはお尻丸出しで「おしっこ」している少年の大きなイラストが…!! これはインパクトがありますね。僕もこのイラストに導かれるように、ここで用を足しました。
国道41号線と離れて進んでいくと、いきなり道路は狭くなります。しかし両側と眼前には緑一面の高い山々が迫り、左手すぐ近くには宮川がきれいに流れ、歩く立場としては最高の景観です。天気もまずまず。
すぐに小さな集落が現れ、左手にJR高山本線の角川(つのがわ)駅が見えてきます。実はこの頃、前年の台風の影響でいくつかの橋脚が流されてしまった影響で、この区間の高山本線は不通でした。だから「駅」とは言っても電車は来ず、代行バスが時折走っているだけだったのですが、それでも駅は住民の「集会所」としての役割を果たしているようで、花が植えられたり、老人達が集まってしゃべっていたり、しっかりと手が入れられていました。駅が死んでしまっていないことを実感して安心しました。
角川駅からはさらに道は二手に分かれ、左へ進行方向を取ると天生峠(あもうとうげ)を経由して白川郷にも向かうことができます。しかし、こちらの峠は非常に険しい上に一度も下見をしたことがなかったので、予定通り宮川沿いの国道360号線の旅を続けることになりました。
いくつかのトンネルや洞門を歩き、左手には台風によって破壊された線路の橋脚を間近に見ながら、大自然の恐ろしさを改めて実感しました。僕の場合は歩いているだけだからいいけれど、実際にこの地域に住んでいる方々はたくさんいて、そういった人たちは線路と道路が(それぞれ一本ずつしかありませんから)崩落したらまちがいなく陸の孤島に閉じこめられてしまうんでしょうね。食料とか医療とか、いろんな問題に常に不安を感じながら生活しているのでしょう…。過疎化の進む地域の現状がとてもよく分かりました。
今回は次の駅、JR高山本線の坂上駅を終着地としました。何度も繰り返しますが、「駅」とは言っても電車は来ていません(もちろん無人駅です)。それでもこの駅も旧宮川村の中心駅として商工会議所も入っているようで、駅舎内部に立ち入ることもでき、僕も一服させてもらいました。座布団も設置されている上にギャラリーにもなっているようで、電車は来なくてもこの駅もちゃんと「生きて」いることを実感して嬉しくなりました。
次回も宮川とJR高山本線に沿って国道360号線の旅を続け、岐阜県最後の駅である杉原駅に到着します。