第103回 坂上(岐阜県飛騨市)→杉原(岐阜県飛騨市)

平成17年9月30日 晴れ時々曇り 16.9q 4時間0分

まんが王国に招かれて…

 どんなに素敵な景色でも、同じような景観が続けば人は飽きてしまいます。今回の約17qのコースは、前回に続いて山と川と空に囲まれた、文句の付けようがない「大自然体感コース」なのですが、難点はやはり「同じような景観がず〜〜っと続く」こと。今回はそれを覚悟して、ウォーキングに臨みました。

 前回の旅日記にも書きましたが、今回の出発地となる坂上駅はそこそこの集落の中にあります。駅前の広場は代行バス(当時は前年の台風のためにJR高山本線は不通であったことも、前回の旅日記に書きました)を待つ学生達でにぎわっており、僕のウォーキングも民家の間を縫うようにして国道360号線に出ます。小学生たちの登校時間でもあり、班ごとに通学する姿が見られました。見送る保護者達は、ジャージ姿で歩く見知らぬ不審者(僕のことです)を見て、何だか心配そうでした…。とりあえず不安感を少しでも払拭させてあげるために、ちゃんと挨拶をしました。

 この辺りの台風の残した爪痕はすさまじく、線路だけではなく道路も一部崩落していました。この日はまだ復旧作業が行われている最中で、工事用の車両は通るし、道はあちこち仮設の状態でした。それでも逆にこの時期にしか見られない、生の「災害跡」を体感することができ、いい経験をすることができました。

 工事中による迂回路の中には、普段はほとんど利用されていないような川向こうの狭小路もあり、この日はウォーキング中に道路の真ん中で木の実をかじっているリスを見かけました。もちろん彼女(彼かも!?)の方は僕の姿を見つけるとサーッと逃げていってしまいましたが、野生のリスを単体でしっかりと観察したのはこの時が初めてでした。

 出発から12qほどで到着した次の打保駅も、当然この当時は使われておらず、こちらは坂上駅とは違って頑丈に板で入り口がふさがれており、中に入ることすらできませんでした。仕方なくちょっとだけ休憩して、歩を進めることにしました。打保駅の周りにもほんの小さな集落があり、そこにあるガソリンスタンド(営業しているのかどうかは分かりませんでした)前が、スタートからの2300qポストになりました。

 打保駅からはまた宮川対岸の狭小路を歩くことになりましたが、ここで向こうから走ってきた車から声をかけられました。「道路復旧の調査ですか? ご苦労様です!」

 「いえいえ違うんですよ、ただ趣味で歩いているだけなんです…」と返事をする間もなく、車はそのまま走り去ってしまいました…。こんな所を歩くような物好きな一般人なんているはずがない、という先入観でしょうかね。確かにこの日は4時間も歩いたのに、通学する小学生とリス以外の歩行者には一人も会っていません。

 そうこうするうちに今回の終着地、杉原駅に到着。JR高山本線は始点の岐阜駅からこの駅までずっと岐阜県を走っています。そしてこの駅が岐阜県最後の駅となり、次の駅は猪谷駅、もう富山県に入ります(猪谷駅の説明は次回の旅日記で)。今回は杉原駅に車を置かせてもらっていたので、バスを待つこともなく、整理体操だけしてサッサと車へ乗り込みました。

 杉原駅から車で2分くらいの所に、この地方では唯一と言ってもいい娯楽施設「まんが王国」があります。この施設には「オンリ〜湯」という温泉設備もあり、今回は杉原駅到着がまだ11時10分だったので、ここで汗を流し、しばしマンガを読んでくつろいで行きました。ちなみに「温泉+マンガ読み放題」で800円でした。日曜・祝日の様子は分かりませんが、この日は平日の昼間と言うこともあって、温泉には何人かの地元のご老人がみえましたが、マンガサミットハウスは僕一人の貸し切り状態でした。こんなに静かな施設なら、またいつか立ち寄ってもいいなぁと思いました(冬はスキー客でにぎわうらしいですけどね)。

 次回は久しぶりに県境をまたいで、いよいよ富山県初見参です。



第102回へ←   →第104回へ


日本海を見に行く旅トップへ戻る
旅のページトップへ戻る