第106回 富山(富山県富山市)→滑川(富山県滑川市)
平成18年5月4日 快晴 19.6q 6時間0分
日本海と初対面、そして初の蜃気楼!!
さぁ今回の旅も佳境に差しかかりました。今回の旅は「日本海を見に行く旅」ですから、いよいよ日本海と対面することができるこの区間は、ある意味一番のメイン区間かも知れません。
富山駅の南口を出発してすぐに、JRの線路の下をくぐり北側へ向かいます。日本海は北にあるのだから当然と言えば当然のコースですね。次の交差点では路面電車と交差します。路面電車の軌道内に入るのも第96回の岐阜市内を歩いて以来です。
ここから日本海の岩瀬浜に出るまでの約8qは、漁師のにおいのする商店街が続きます。最初に現れるのは中島商店街。道幅が狭くて少し歩きにくいものの、それだけ両脇の商店がせり出してきていて歩きながらでも店の中をのぞくことができます。
そしてこの商店街を抜けると少しだけ道幅が広くなり、歩道も設置されるようになります。右手からは富山ライトレールと呼ばれる鉄道が近付いてきて、岩瀬浜まで併走します。この富山ライトレール富山港線は、かつてJR西日本時代は運行本数も少なく「港までのローカル線」という感じでしたが、JRから切り離されて私鉄になってからは運行本数も大増発し、車両もとてもスマートなきれいなものに変わったので、今は短いけれど住民の足として再び重要な鉄道となっています。終着駅の岩瀬浜駅も、結構な人数の観光客でにぎわっていました。
この日は歩道にとかげもウロチョロするほどの陽気で、日本海との初対面には最高の日和となりました。岩瀬浜駅の辺りからすでに日本海の香りが漂い始めていましたが、せっかくなので県道からもう1つ海沿いの(というかまさに海岸沿いを走る)サイクリングロードを歩くことにしました。しばらくは自動販売機もなさそうだったので、サイクリングロード入り口の小さな商店でミルクセーキを買って喉を潤し、さぁ青い日本海を堪能だ!!
冬の日本海は「荒い」「暗い」というイメージで、世間では失恋の際に訪ねることが定番になっているようですが、ゴールデンウィークの初夏の日本海は「暗い」なんてとんでもない! 青い空に青い海! しかも富山湾は立山連峰の雪どけ水がまだ冷たいうちに湾内に注ぐので、透き通るようにきれいです。富山湾が「キトキト」な鮮魚の産地として有名なのも分かります。
海岸では外国人のいくつかのグループがバーベキューをしているし、時折日焼けした漁師さんが自転車でフラフラと通るし(昼から一杯やっているのか!?)、まさに散歩気分の海岸ウォークでした。
このサイクリングコースは浜黒崎辺りでいったんキャンプ場のある林の中へ入り込みますが、キャンプ場を過ぎるとすぐにまた海岸沿いに出て、日本海の素晴らしさを長い時間ず〜〜っと味わうことができました。そしてふと海の向こうを見ると、なにやら長い長い陸地がチラチラと…。
「もしやあれは蜃気楼では!?」 富山県は言わずと知れた蜃気楼で有名な地(もっとも有名なのは次回に通る魚津市です。魚津市の紹介は次回の旅日記で)。確か以前に仕入れた情報によれば、蜃気楼には夏と冬のそれぞれの蜃気楼があって、夏の蜃気楼は海水が冷たくて空気が熱くなる4月下旬から5月中旬に観測できるということだったような気がしたので、「あれはきっと蜃気楼だ」と信じることにしてウォーキングを続けました。後日談になりますが、新聞に「5月4日に富山湾で見事な蜃気楼を観測」という記事が出ていたので、この日の疑念は確信に変わりました。
蜃気楼をじっくり堪能した後、ようやくサイクリングロードも終わりを告げ、県道の方へ戻っていきました。県道とは言ってもやはり海からはかなり近く、見晴らしのいい地点では日本海の青さをまだまだ楽しむことができます。
小さな川を渡るとそこが富山市から滑川市への境界になっており、第104回の旅で岐阜県飛騨市から踏み込んで以来の富山市に別れを告げることになりました。左手には田んぼの中に滑川海洋高校が見え、右手からは富山地方鉄道が近付いてきて、滑川駅が近いことを感じさせます。ウォーキングに疲れてきた頃、この「鉄道の線路が近付いてくる」というのは本当に嬉しいものです。
今回の富山平野ウォークは、ここ滑川で終着。次回も同様に富山平野を東進して、黒部に到着します。