第111回 名立(新潟県上越市)→新井(新潟県妙高市)
平成20年3月17日 快晴 33.2q 7時間50分
日本海、堪能終了…!
今回の33qのコースは、前半の18qと後半の15qに大きく分かれます。地形・風景・空気…、すべてがまったく変わります。
前日と当日の宿は2泊連泊で上越市の市街地、春日山のホテルにとりました。JR信越本線の春日山駅から徒歩5分ほどの場所にあり、こじんまりとしたビジネスホテルです。連泊にすると旅行の荷物がホテルに置きっぱなしにできるので、身軽にウォーキングできるのです。この日は天気も快晴で、登校する学生達と一緒に春日山駅から始発列車に乗り込みました。
直江津で北陸本線に乗り換え、前回の終着地となった名立駅へ。前回は暴風&冷たい雨の中で見た名立駅も、この日は初春の空気の中、穏やかな顔を見せてくれていました。前回もたどった名立川沿いの歩道を海側に戻り、再び久比岐遊歩道へ合流しました。北陸本線の旧線跡を使った遊歩道はあと1駅分残っています。
この先、この区間でもっとも海に突き出している鳥ヶ首岬に当たります。ここも同様に赤レンガのちょっと怖いトンネルが口を開けており、おそらくこれが遊歩道最後のトンネルになります。通り抜けた後で、記念に写真を撮っておきました(通る前に写真を撮って「何か」写ってしまったら、怖くて通れなくなってしまいますからね)。
トンネルを抜けると、前回のウォーキングの梶屋敷駅から歩いてきた遊歩道も終わってしまいます。そこにはJR北陸本線の有間川駅。この有間川駅は比較的新しい駅で、隣の谷浜駅からの距離も4qと結構短い。その理由もあってか、当時の国鉄も駅の設置には難色を示していたらしいです。でも結局設置されたということは、何かわけがあったんでしょうね。海水浴場が多いから、利用客もそこそこ見込めると考えたからでしょうか…。
そんな話を裏付けるかのように、しばらく歩くと小一時間ほどですぐに谷浜駅に到着。ここも目に前に海水浴場がある小さな駅ですが、この駅はJR西日本が管轄しているもっとも東にある駅として有名です(鉄道ファンの間でね!)。実際には次の直江津駅で、米原から走ってきた北陸本線は終点となり、そこまでがJR西日本の管轄となっているのですが、直江津駅自体はJR東日本が管轄している駅舎なので、駅舎としてはこの谷浜駅がJR西日本最東端となるわけです。
ちなみに豆知識として紹介すると、先ほど通ってきた有間川駅はJR西日本の最北端の駅となります。さらにJR西日本の最南端の駅は紀勢本線の串本駅(和歌山県)、最西端は山陽新幹線の博多駅(福岡県)となります。
あと少しの間、左手すぐそばに日本海を堪能しながら進むと、とうとう直江津港が近付いてきます。上越市の港ですが、駅名は古くからの名称のまま「直江津」で通しています。いいですね、こういった古い名前を残していくのは。僕の地元の豊橋駅もできれば「吉田」のままでいてほしかったなぁ。結構いい名前だと思うんだけど。旧吉田藩の吉田城も残っているし。
直江津駅で北陸本線は終着です。滋賀県の米原駅で東海道本線から分岐して約350q。福井県・石川県・富山県・新潟県とひたすら日本海を見続けながら走ってくる路線も、ここで信越本線に合流されてしまいます。僕がともに歩いてきたのは富山駅からの約120qだけですが、やはり一緒に歩いてきた路線が終わってしまうのは少し寂しいです。しかもこの北陸本線は、親不知・子不知などの難所を僕と一緒に越えてきた戦友でもありますしね。
直江津駅は市街地にありますが、そこに行くには日本海岸の切り立った崖の上を歩いて行かなくてはなりません。直江津からは内陸の長野に向けて南下していく予定なので、北陸本線だけでなく日本海とももうすぐお別れとなります。最後の最後に高い崖の上からじっくりと日本海を眺めて、日本海と抱擁しました(もちろん気分だけね)。これからまだまだ僕の旅は続くと思いますが、日本海側に来ることはまずないと思いますので、もしかするとこれが日本海との今生の別れになってしまうかも知れません…。
直江津駅のすぐ横の跨線橋を渡って国道8号線から離れていきます(同様に国道8号線ともここでお別れです)。ここからは南に向かって、本州の内陸へと向かいます。道は国道18号線に変わり、標識には「高崎へ○○q」と書かれています。そうかこの国道は長野県を経由して群馬県に向かうんですね。日本海・北陸本線との別れは寂しいけど、ここからまた新しい出会いがあり、新しい旅の始まりです!
海と別れたばかりなのにもう目の前には妙高山がそびえ立っていて、この先に難所が待ち構えていることを予想させます。右手には昨日の夜に宿泊した(そして今夜も宿泊する)ビジネスホテルが見えますが、きょうはまだまだ先へ進みます。何だかあまり疲れていません。どこかから放し飼いにされているらしきかわいい子犬が走り寄ってきたりというハプニングに見舞われながら、上越市のもう1つの市街地である高田、北陸新幹線の駅が併設される予定で工事が始まっている脇野田駅などを通り過ぎ、ここら辺りから田園が広がり始めました。もう海のにおいはまったくしません…。春先とはいえ、午後の日差しで日焼けし始めてきたような気もします。
広かった上越市も終わりを告げ(本当は飛び地があり、次回のウォーキングでもまた上越市には入るのですが)、妙高市に入ります。かつての新井市です。この町は鉄道沿線に化学工場があり、住民とともに貨物も利用する路線のようです。かつては北陸の酒田港から苛性ソーダなども運ばれていたそうです。しかしこの日の新井駅は下校途中の高校生であふれかえっていました。
今回終着地とした新井駅は、妙高市の中心駅です。快速「くびき野」という優等列車もこの駅を始発として新潟駅まで走っています。ちなみにこの新井駅の前後区間、長野〜直江津間にも快速「妙高」が走っているので、特急料金不要の快速列車が非常に多く走っている区間とも言えます。快速列車は青春18切符でも乗車できるので、僕にとっては旅のしやすい区間なのですが、将来北陸新幹線が開通するとここはJRから切り離されて第3セクターとなってしまう予定らしいので(そうなると当然青春18切符は使えなくなってしまいます)、今のうちに楽しんでおかないと…。というわけでこの地方に来ることがあると、できる限り直江津経由で旅程を組むことにしています。
新井駅から多くの高校生と一緒に列車に乗り込み、宿泊地のある春日山駅まで戻ったのですが、春日山駅は市街地にあることもあり、結構たくさんの高校生達が一緒に降りました。その中に一人、とても大人しそうなかわいらしい女子高校生がいたのですが、何とその子は駅の駐輪場に行くと、自転車…ではなくバイクの荷台にカバンを詰め込んでスーッと走り去ってしまいました。えっ! バイク通学?? 無免許?? とてもそんな風には見えない子だったけど…。ま、人は見た目では分かりませんが、もしかして自然の厳しい新潟県の高校生はバイク通学が認められているんですかね? この疑惑は次回のウォーキングでさらに深まることになります…。
次回は妙高山・黒姫山に見守られながら、新潟県を後にして長野県に入ります。