第115回 上田(長野県上田市)→小諸(長野県小諸市)

平成21年4月30日 快晴 18.6q 4時間40分

雲ひとつない青空に、一筋の白煙

 今回の旅程には今までとは違った部分があります。それは先月から始まった「土曜休祝日の高速道路1,000円化」というもの。これによってお金のことをまったく気にすることなく、現地まで高速道路を利用することができます。今回も4月29日の祝日の夜、塾の授業を終えてからそのまま出発しました。予定では深夜3時過ぎに長野に到着するはずです。

 車は順調に進みましたが、松本を過ぎた辺りからやけに冷えてくる…。外気温度計をつけると何と「5℃」。しかもこれから聖山高原(ひじりやまこうげん)を越えて姨捨山(おばすてやま)へ進んでいくのだから、いったいどこまで寒くなるんだろうとかなり不安…。結局長野市内では2℃まで下がり、到着時刻は予定通りだったものの、車中で仮眠をとるのに暖房をつけて後ろのトランクから毛布まで取り出すことになりました。

 料金所を出るまで「本当に1,000円なの??」と不安でしたが、無事に料金は1,000円で済みました。何だか長野が近く感じられました。さぁ夜明けまでに前回のウォーキングの距離を測定して、小諸まで行かなくては…。

 小諸に着いた頃にはすっかり明るくなり(5時30分くらいでした)、すき屋でカレーを食べて朝食としました。車は小諸の駅前の駐車場に停め(一日で500円)、小諸駅から電車に乗って出発地の上田まで向かったのですが、この時間帯はまだまだ寒い! コートを持ってきていなかったのを少し後悔してしまうほどでした(まぁコートを持って行ったら行ったで、また後悔することになっていたでしょうが…)。

 上田駅出発は朝6時40分。駅を出て右の方へ歩いていくと、やはり出勤するサラリーマンはみんなコートを装着しているではないか!? 今日は4月の最終日でしょう?? やはり長野は寒いのですね…。寒く感じるのは愛知県民の僕だけじゃなかったんだ。

 今回のコースの前半は、わざと国道18号線から離れて千曲川の堤防を歩きました。右手では岸辺のパターゴルフ場で早朝練習をする老人たち。寒いのにまぁ元気なこと!! 僕の方はと言えば、さっき電車の中で飲んだコーヒーとこの寒さとの相乗効果で、早くも尿意が…。運良くパターゴルフ場に設置されたトイレがあり、本当に助かりました。

     

 さらに季節がら、千曲川には鯉のぼりもかかっており、前半は素敵なウォーキングとなりました。東御(とうみ)市には北国街道の海野(うんの)宿もあり、観光化されているとはいえ素敵な雰囲気が町ぐるみで作り出されていました。道路の脇には広い側溝があり、古くの江戸の町並みを彷彿とさせました。ただ、この側溝には小さな虫が飛んでいたのだけが少し興ざめで残念でした。ま、でもこれはどうしようもないか。

 海野と書いて「うんの」と読むということも初めて知りました。てっきり「うみの」だと思っていました。後で地図で調べたら、この道は「全国の道100選」にも選ばれており、この日の夜に泊まったホテルの方にも「東御の海野宿には行きました?」と聞かれたことからも分かるように、結構有名な宿場なのですね。知らなかったことをちょっと反省しました。

 「うんの」という発音とはあまり関係ないですが、この宿場を通り越した地点にある公衆トイレで朝の「うんの」を済ませ、今回のウォーキングも後半に入ります。余談ですが、この公衆トイレは非常にきれいで、とても気分良く「する」ことができました。体も軽くなり、歩き出してから「やけにすっきりしすぎているなぁ」と思ってみると、トイレの個室の中にカバンを忘れてしまっていました。あわてて50mほど引き返しました! 財布から車のカギから免許証からいろいろ入っていたので、本当に危ないところでした…。

 さてここからは国道18号線に戻って小諸を目指していくのですが、時刻は8時30分過ぎ。今度は暑くて暑くて仕方ない! コートを持ってこなくて良かった、なんて後悔するよりも、逆に帽子を持って来ていなかったことを後悔していました。社会の授業では「内陸性気候は夏と冬の、また夜と昼の寒暖差が激しい」と教えていますが、それをまさに身をもって実感することができました。

 国道18号線に出てからは特に風情のある物は無いのですが、ずっと左手に浅間山が見えています。今年の初めにちょっとした噴火をして噴火レベルが上がりましたが、この日はただ静かに白い煙をモクモクと出し続けておりました。雲一つない青空だったので、浅間山山頂の残雪と、そこから上がる噴煙だけが白く浮き上がっていました。

      

 そしてもう1つ、小諸手前の滋野(しげの)地域は、稀代の力士、雷電為右衛門(らいでんためえもん)の出身地でもあります。通算勝率9割6分2厘は、史上最高と言っても差し支えなく、彼が横綱免許を辞退したことは相撲史上最大の謎と言われています。江戸時代の力士ですから、ここにも「相撲」というものの長い長い歴史を感じますね。

 この日は小諸まで、久しぶりに(第108回以来)20q未満の短いウォーキングとなりました。歩き終わっても何だか少し物足りない気もしましたが、昼になってかなり暑くなってきたのでまぁこんなもんかなとも思います。小諸は個人的には「寂しい土地」というイメージがあります。島崎藤村の「小諸なる古城のほとり」の、あのアンニュイな空気が頭にあるからでしょうか? 藤村の詩に出てくる旅人(遊子)も憂いを抱えた一人旅、自分とちょっとかぶるところもありますね。読んだことない人はぜひ読んでみて下さい…。今度は時間があったら懐古園にも行ってみたいです。何だか藤村に出会えるような気もします…。

 最後は藤村の詩で、少ししんみりしてしまいましたが、旅の行程も長野・群馬県境の碓氷峠(うすいとうげ)が迫ってきて、だんだんと「陰」を感じられる雰囲気になってきました。次回はいよいよ碓氷峠の直前、長野県の東端、軽井沢に向かいます。



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