第119回 高崎(群馬県高崎市)→伊勢崎(群馬県伊勢崎市)
平成22年8月16日 晴れ 19.4q 5時間10分
日本で一番アツい夏
「♪8月の風を両手で抱きしめたら…」なんて曲が思い起こされるタイトルですが、いくら8月でも風が吹いていればそんな暑さは大したことないと思います。風もなく、空は雲に覆われているのに太陽は照りつけていて、それでもって体温よりも高い気温…。そんな夏をプリプリの奥居香さんは体験したことがあるのでしょうか?
ま、とにかく今回、私は群馬県の夏の暑さをナメていました。猛暑日の記録が更新されるたびに、岐阜県多治見市や埼玉県熊谷市とならんで地名を耳にする群馬県伊勢崎市。ちなみに色っぽい吐息で知られる、青江三奈さんの「伊勢佐木町ブルース」の方は「いせざき」と読み、横浜にあります。群馬県にあるのは「いせさき」市。
「午後2時の時点での最高気温が38℃超」なんて気象情報も今年何回も耳にしていましたが、「ま、雨が降るよりは歩きやすいかな」というくらいにしか考えていませんでした。体温を超える気温というものがどのようなものか…。
今回の歩き出しはJR高崎駅。ホテルから歩いて30秒ほどの場所が前回の到着地となっていたので、午前9時10分、まだほとんど体力を使っていない状態でウォーキングを始めることができました。ちなみにこの時点での気温はすでに30℃超。この時気付くべきだったのです、真夏の上州が言葉だけではなく本当に「灼熱地獄」だということに…。
東に向かう道路に沿って歩き始めるとすぐに汗が噴き出してきました。この日は近隣の予備校で模擬試験があったらしく中学3年生が自転車でたくさん集まってきていましたが、彼らもすでに汗だくで、群馬県の中学生や高校生ってそれだけでハンディだよな、と思っていました。ちなみに外で保護者の送迎自動車の誘導をしている予備校講師の方々も本当に大変そうでした。
それにしても1時間も経たないうちにもう体力の大半を使ってしまっていることを感じました。通常、真夏のウォーキングは約2時間に1回の水分補給をするのですが、今回は1時間ごとに給水が必要となりました。それでも前半はまだ良かったのです。自動販売機で買った水を日陰でゴクゴク飲んでいればそれで体力回復となったのですから。さらに涼しげな小川も流れていて、眺めているだけでほんの少しだけ暑さがしのげているような気持ちにさえなっていました。
しかしそれも最初の2時間だけでした。2度目の給水を終え、いよいよ伊勢崎市に入った辺りから何だか頭がガンガンし始め、視線が定まらなくなってくる。歩いているときは多少はいいのだけれど、信号待ちなどで立っていると何だか息苦しい…。次第に思考も回らなくなってきて、日陰でしゃがんでも吐き気が止まらない…。気温が体温よりも高いってこういうことなんだ! とまた1つ実体験により賢くなりましたが、このまま死んでしまっては元も子もありません。いやまぁそこまでいかなくても救急車で搬送されたらシャレにならないだろうなぁ。「日本一の気温を記録した街で、愛知県の大人げない塾講師、趣味でウォーキングして倒れる!!」なんて見出しの夕方のニュースが頭をよぎる…。
とにかく日陰にいても体温は上げられてしまうのだから、いったん冷房の効いた所で休むしかない。そこで道端にあったゲームセンターに入り込み、冷たい机に突っ伏して冷たい水を存分に流し込み、しばし体を冷やすことにしました。ここでかなり体力回復!
でも結局は自分の足で歩かないとゴールは近付いてこないので、しばしの休息を経てまた歩き出す。そして30分ほど経ったらまた水分補給…。これを繰り返しながらちょっとずつ前へ進みましたが、結局伊勢崎市役所前の交差点で再びダウン。何だか道もよく分からなくなってきて(もちろん地図のコピーは持参していましたが、それを鞄から取り出す余裕もありませんでした)、今日からお盆明けの出勤が始まったらしき市役所の職員の方に詳しく道をお聞きしました。公務員というのは私の大嫌いな職種なのですが、この日ばかりは親切に駅までの道を教えてくれるこの公務員の方が神様のように見えてきました。お金にならないことでも真剣にやってくれる「公務員」の方を初めて目にしました(これはちょっと嫌味が過ぎましたかね!?)。
その方のお話だと駅まではあと2qほど。歩いて15分。正直言ってこの15分が1時間にも2時間にも感じましたよ。何回か救急車か、そこまでいかなくてもタクシー呼ぼうかと思いました。見上げるとあの「ひまわり」でさえもう太陽を直視できずに熱中症気味にうなだれていました。群馬のひまわりも大変だ。名前が名前だから日陰でサボるわけにもいかないし…
今回、119回目にして初めて本気で自分の生命の危険を感じました。熊の出没や蛇の出現、その他いろいろな事件はありましたが、実際に自分の身にヤバい事が起こり始めていたのは今回のウォーキングが初めてでした。とにかく生きて伊勢崎駅に到着できたことをウォーキングの神様(道祖神かな?)に感謝します。
それでもそんな中でも駅前商店街の「かかあ天下」のパフォーマンス写真や、ゴール到着時の伊勢崎駅の写真をしっかりと撮ったことは自分でもよくやったと思います。いや、それほどにこの日の私の頭はもう真っ白だったのです。駅に着いてこのウォーキング7本目の500ml水を口にしましたが、これだけ(5時間の間に合計3500ml)飲んでも下痢一つ起こさなかったのはよほど汗をかいたという証拠でしょうね。伊勢崎駅から帰りの電車に乗ってクーラーに当たり汗がひくと、腕や額には固体の塩がザラザラと残っていました。製塩ってこうやってやるんですね。また1つ勉強になりましたが、こんな学習法をしていたらいつか身がもたなくなってしまうでしょう…。
体温より高い気温。皆さんは絶対に無用な外出は控えるようにしましょう。
次回は群馬県を北東に進み、うどんの桐生、そばの足利(栃木県)、ラーメンの佐野(栃木県)という麺どころを目指します。