第12回 関(三重県鈴鹿郡関町)→加佐登(三重県鈴鹿市)

平成11年3月22日 雪 16.4q 4時間0分

春先の雪

 前回長距離を歩いたおかげで自分の脚力にもかなり自信がつきました。今回のウォーキングは3月も終わりのいい季節になり、この区間からは平坦な道が続くし、しかも鉄道駅もたくさん存在するので、精神的にも余裕しゃくしゃくで出発地点の関駅に向かいました。

 朝の電車で豊橋から名古屋へ。そこから関西本線で関へ向かいます。とは言っても名古屋から出ている普通列車は、関より1駅手前の亀山駅止まり。亀山からは1区間だけ電車を乗り継がなければなりません。これは亀山駅がJR東海とJR西日本との境界駅だからです。ちなみに亀山駅から先はほとんどがワンマン列車になります。れっきとした関西「本線」なのに利用者が少ないのは、この区間が「加太越え」と呼ばれる難所だからでしょうか。ちなみに関西本線はこの先、三重県からいったん京都府に入ります。三重県と京都府が接しているということ自体、知らない人も結構多いのではないのでしょうか(えっ、と思った人は地図で確認して見てください)。

 ところでこの日は亀山駅に到着して乗り継ぎ列車を探すと…。何と、1時間待ち! はぁ…。時刻表を調べてこなかった方も悪いのですが、たった1駅のためにホームで1時間…。しかしまぁものは考えようで、この頃は英語教師として英語の征服に情熱を傾けていたので(今も英語の征服は目標の1つですが)、持参していた英熟語テキストを開き、なかなか有意義な駅での1時間を過ごしました。

 そろそろ電車来るかな、と思ってテキストから顔を上げると…。雪! もうすぐ4月なのに。こりゃ歩けるかなぁ。1ヶ月前に雪の中を歩き始めて失敗した経験を思い出しました(第7回の旅日記参照)。でもとにかくやって来た電車に乗って関駅へ。駅前にある寿司屋さんで軽く昼食をとり(ここは以前に家族で来たことがあったので、おいしいということも知っていました。「鈴鹿亭」と言います)、さぁ出発! 雪もいい具合にやみ始めてきた。

 関駅の前には国道1号線が通っています。栗東からずっと歩き続けてきた道ですが、ここら辺りはまた片側1車線になっています。実は関駅を出るとすぐに亀山市に入り、国道1号線は歩行者が歩けない(つまり歩道がない)バイパスになってしまうことを下見の段階で分かっていたので、その直前に線路を渡り脇道に入りました。

 道は1号線から外れて閑静な住宅街に入っていきます。旧東海道だった道なのかは分かりませんが、とにかく雰囲気のいい住宅街です。野村という地域を通り抜けるちょっとした坂のふもとが、スタートからの200qポストになりました。

   

 脇道に入ること自体は決めてあったのですが、この脇道自体はあまり下見をしていなかったので、少々不安げに歩いていました。が、方向感覚が良かったのかすんなりと目指す地点(国道1号線バイパスとの再合流点)まで出ることができました。自慢ではないですが(自慢ですが)、方向感覚はかなりいい方で、あまり方角を間違えたり、逆向きに進んでしまった記憶はないのです(そんな僕が今まで地理感覚を失ってしまった都市が2つあり、それは愛知県豊田市と石川県金沢市です。2都市とも今でも方向感覚がつかめません)。

 1号線バイパスとの再合流点は川合町交差点。ここにちょっとしたホームセンター(名前は忘れてしまった…)があり、ここでホットのコーンスープを飲んで一息つきました。空は再び曇り始め、またまた雪の予兆が…。えらく寒くなってきたし。

 1号線と合流したものの、やはり交通量の多い道を歩くのは味気ないので、再び右手に分かれる県道に入っていきました。そこにはひっそりとJR関西本線の井田川駅がありました。この駅は(名古屋側から行くと)亀山駅の1駅手前になります。そしてここら辺りが亀山市と鈴鹿市の境になるようです。この道をしばらく進むと、和泉橋で安楽川を渡ります。小さな橋で、周囲には視界をさえぎる物はまったくない。これはもう本当にない。前後左右どこまで見渡しても青い空…なら良かったのですが、残念ながらこの日は四方八方「灰色」でした。しかもこの橋を渡っているうちに激しい雪が舞い始めました。周囲に何もないだけに頬を冷たく雪が突き刺す…。今日はこの辺で終わるべきかな。

 その先に旧東海道の宿場町、庄野宿があります。安藤広重の「東海道五十三次」でも、この庄野宿は大雨(嵐)が描かれており、この日の天候もあいまって、僕の中の庄野宿のイメージは「常に悪天候」になってしまっています。もちろん晴れた日もあるはずでしょうが、僕がこの付近を通る時、なぜかいつも雨に見舞われるのです。

 今回はこの庄野宿のはずれにある、JR関西本線の加佐登(かさど)駅を終着としました。降りしきる雪をホームで見るのはなかなか趣がありますよ。ホットコーヒーを飲みながらウトウトしかけてしまいました。

 次回はさらに三重県を北上して、四日市市に入ります。


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