第122回 藤岡(栃木県栃木市)→幸手(埼玉県幸手市)
平成23年5月2日 晴れ時々曇り 34.9q 8時間20分
5県をまたにかけて!
日本地図を見ると、どの地方の都道府県も比較的きれいな県境線が引かれていることが分かります。山脈や河川を境にしているから多少は曲線になっているものの、大体縦横にきれいに県境が走っています。
そんな中で、関東地方だけは少し様相が異なります。栃木県、茨城県、埼玉県の3県が微妙に接しそうになっている地域があり、群馬県もその地点に手を伸ばすように近付いてきています。そしてそこからやや離れた下方には千葉県も伸びてきていて、「この地域には何か宝物でも埋まっているのではないか」と思わせるような感じです。今回はこの地点付近を歩き、一度のウォーキングで5つの県を一気に踏みしめてみようと計画していました。ちなみに今までには第3回ウォーキングで3県を一気に踏破したことがありますが、5県はもちろん、4県を一気に踏破したこともありません。県境がそんな一点に集中している箇所なんて全国で他に例を見ないのです。
JR東北本線の古河駅に車を置いて電車で移動し、出発は6時20分。栃木県栃木市にある前回の終着地、藤岡駅を出ると、1時間も経たないうちに渡良瀬川沿いの堤防道路に出ます。この辺りの渡良瀬川は遊水池になっていて堤防の上からの景観は絶景。この日は晴れていたので水面にきらめく太陽の反射光を楽しめるかなぁと思っていたのですが、黄砂の影響で空が全体にかすんでいて残念ながらきらめく水面はあまり見られませんでした。ちなみに渡良瀬川と言えば、鉱毒事件で有名な足尾銅山が上流にあります。この遊水池は流れてきた鉱毒を沈めるために作られたとも言われており、鉱毒事件から100年、水質自体はかなりきれいになっていますが、この河川敷には今でも大量の鉱毒がとけ込んでいるという話です…。
さてここから渡良瀬川を渡る三国橋までの約10qの区間が、前述の県境が密集している区間です。歩き始めた栃木県から、前回サヨナラしたはずの群馬県板倉町にいったん戻り、さらに栃木県、群馬県と出入りをくり返した後、埼玉県加須(かぞ)市に入ります。埼玉県はこれがウォーキング初見参、これで14個目の都道府県です。
そして昨夜宿泊した「道の駅きたかわべ」を横目に見ながら、茨城県へ入る三国橋へ向かいます。三国橋と渡良瀬川のマッチした景観は黄砂の中でもまったく色あせることなく、今回のウォーキングの前半を楽しませてくれるものでした(下の写真左)。そして橋を渡るとそこは茨城県古河(こが)市。茨城県ももちろんウォーキングでは初めて踏みしめる県です。これで15県目。
結局、県境が密集している地域には宝も何も隠されていませんでした。なぜこの地域に県境がこんなにも密集しているのかはまだまだ調べてみる楽しみが残ってしまいましたね…。
古河市は茨城県南西部に位置し、関東平野のほぼ真ん中あたりです。水戸や鹿嶋の方とは違ってまだまだ都心のにおいが残っている感じがします。ここからの12qは、今回のウォーキングの中盤戦。しかし大きなビルがあるわけでもなく、かと言って大自然に囲まれているわけでもなく、ただただ交通量が多い県道が続くだけで、千葉県との県境までは結構疲れた一本道となりました。ちなみに茨城県は新幹線がかすめるように通っています。…が、新幹線の駅は無く、茨城県は全国で唯一の「新幹線が通っているのに駅がない都道府県」です。
そしていよいよ千葉県との県境が近付いてきます。茨城県境町に入ると再びウォーキングコースは堤防に上り(この辺りでは渡良瀬川はすでに合流して利根川になっています)、さっきまでの渡良瀬川と同じような景観を、今度は進行方向右手に見ることになりました。この堤防から見るこの景色は茨城百景に選ばれているらしく(失礼ですけど、茨城県内だけで100も選んでしまったらほとんどの景色が入選してしまいそうな気がしますが…)、「境の絶景」と呼ばれているらしいです(下の写真左)。そして「道の駅境」を見ながら橋を渡るとそこは今日のウォーキングで5つ目の県である千葉県の野田市。これで通算16県目。全国の都道府県の3分の1を越えました!!
まぁ、「一気に5県踏破」なんていう記録のために今回は歩いているようなもので、この千葉県も北西部をほんのちょっとかすめるだけです。すぐに江戸川を渡って埼玉県に戻るとそこは幸手(さって)市。この川沿いだけ見ると工場が建ち並ぶ工業都市のようですが、実際は田園が広がる、埼玉県でもっとも人口が少ない市のようです。それにしても「幸手」なんていい名前ですよね。しかもちょっと考えないと読めませんよね。
今回はここからまだまだ7qほど頑張って進み、幸手市街にある東部日光線の幸手駅を終着地としました。いよいよ今回の旅の目的地である江戸は間近に迫ってきました。