第126回 鶴見(神奈川県横浜市鶴見区)→藤沢(神奈川県藤沢市)
平成24年2月3日 快晴 30.9q 7時間50分
なんだ坂こんな坂、なんだ坂ごんた坂
始発の新幹線で豊橋を出たと言っても鶴見に到着したのはすでに8時半頃。通勤客でごったがえす吉野屋で朝食をとり、相模路を西へ西へと歩き始めました。日が昇ってくるとそれほど寒さはなく、やはり冬は夏に比べて歩きやすいですね。
第一京浜(国道15号線)に沿って歩いていくと、十数分ほどでJRの国道駅。う〜ん、安直なネーミングだと思いますが、安直すぎて全国のどこにも他に国道駅なんてありませんから、これはこれで「してやったり」なネーミングなんでしょうね!? しかし国道に沿っている駅なんて掃いて捨てるほどあるのに、どうしてここが「国道駅」になったんでしょう!? 謎です。
大きめのターミナルである東神奈川駅を越えると、今回通る最初の宿場である神奈川宿はもうすぐです。京急の神奈川駅の真横を通り過ぎて旧道に踏み込んでいきます。JRの東神奈川駅は大きなターミナルなのに、京急の神奈川駅は非常にこじんまりとした駅でびっくりしました。
そして神奈川宿自体も非常にこじんまりとした素敵な宿場でした。微妙に坂道は続きますが、大きな国道からはやや外れていて、味のある朝の小径をじっくりと堪能しました。いつもそうなんですが、日常生活であった嫌なことを自分の頭の中で自己完結するには、長時間の散策は最適ですね。
しかしここから次の保土ヶ谷宿へ向かう途中で一本道を間違えてしまいました…。間違えた道も何となく風情のある小径で、ここがスタートからの2850q地点になったのですが、20分ほど歩いたところで道がなくなってしまい立ち往生…! 完全に住宅地のど真ん中に入り込んでしまっていました…。結局通りすがりの方々に保土ヶ谷駅への道を尋ねながら歩くことに…。いや、皆さん、ご迷惑をおかけしました。しかしどなたも本当に親切に道を教えてくださいました。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
無事に保土ヶ谷駅に到着でき、それでもまだお昼前。昼食は次の戸塚宿でとることにして、まだまだこのまま歩を進めて行くことにしました。さぁ、この先には江戸を出発して東海道の最初の本格的難所、箱根駅伝でも目にする「権太坂」が待ち受けています。
旧東海道を江戸から出発すると、だいたい一日で戸塚宿まで到着するのが一般男性の平均でした。その前に立ちはだかるのが1qあまりダラダラと続くこの上り坂。江戸からここまでず〜っと関東平野を歩いてくるので大した坂道はありませんから、初めての本格的な坂道ということになります。僕も気合いを入れ直して権太坂の入り口に立ちました。
僕もウォーキングには結構慣れている方ですが、確かにこれだけダラダラと坂道が続くと歩くスピードは確実に落ちますね。しかし坂道の間もずっと両脇には民家や学校が連なり、景色自体も飽きないのでそれなりに権太坂を楽しむことができました。坂の途中には「権太坂」の道標があり(写真左)、坂を上りきった辺りでは安藤広重の浮世絵と同じく雪をかぶった富士山も望むことができました(写真右)。ここはかつて通行している旅人に「この坂の名前は何?」と聞かれた地元のご老人が自分の名前を聞かれたと思い「権太」と答えたことが名前の由来らしいです。まぁ、そんなことだろうとは予測していましたけどね…。
権太坂を登り切っても戸塚宿はまだまだ先です。そしてこの先にも小さな坂、大きな坂がアップダウンで続きます。まずは下り坂となる焼餅坂、そして小さな登りの品濃坂。この品濃坂には江戸から9里目(約36q)となる一里塚があり、この一里塚は道の両側ともにかつての状態がほぼ保存されている非常に珍しい一里塚とのことです。下の写真はもちろん後世に作られたモニュメントですけどね。
ようやく国道1号線に出ると戸塚宿はもう少し。昔の人は江戸から一日でここまで来たのですね。疲れ切って日が落ちた頃にこれらの坂を歩くのは本当につらかっただろう、としばし江戸時代当時に思いを馳せていました。
戸塚宿の風情のあるお店でちょっと遅めの昼食をとり、今回はもう一つ先の藤沢宿まで向かいます。戸塚駅を越えると旧道は「大坂」というこれまた非常につらい上り坂に差しかかります。僕もそろそろ疲れが出始めている頃だったので、この坂は本当にきつかったです。両側に石垣があるとても素敵な道なのですが、写真をとるような心理的な余裕もありませんでした…。
ここからはしばらくバイパスに沿って歩き、ようやく藤沢宿に入る交差点が近づいてきます。もうすでに4時近くになっており、朝と同じように寒さがまたまた増してきました。やはりこの季節は太陽が沈んでしまうと急激に冷え込みますね。今回のウォーキングは本当に坂道が多くて、ここから藤沢宿に向かってまたまた道場坂、遊行坂という長い長い坂を下り、ようやく藤沢宿が目の前に見えてきました。
今回はこの藤沢本町にある老舗「豊島屋」さんで松露羊羹をおみやげに買い、太陽も沈みきった午後4時30分、小田急の藤沢本町駅に到着。久しぶりに30qを越える、充実したウォーキングにはなりましたが、さすがにこれだけアップダウンが続くと股関節がかなり痛いです…。
次回は箱根越えの目前となる小田原宿へ向かう予定です。