第153回 松江(島根県松江市)→出雲大社(島根県出雲市)

平成28年9月7日 曇り一時晴れ 40.5q 10時間10分

出雲の神様を「しんじ」よう!

 「滋賀県って、真ん中に穴があいている県だよね?」っていうセリフを耳にしますが、いやいや、島根県だって穴があいていますよ。もちろん琵琶湖ほど大きくはないけれど…。ただ大きさうんぬんよりも、そのことにすら話題にされない島根県って…。ということで、今回の僕のウォーキングは、前半で宍道湖(しんじこ)の魅力についてたっぷりと堪能しようと思います。

 島根県の県庁所在地である松江を午前7時に出発。各局の天気予報も「雨」やら「曇り」やら「晴れ」やらが入り混じる中で、一応傘も帽子もタオルも手に持って、そして日焼け防止のために長袖のシャツでのスタートです。

          

 5分も歩かないうちに、眼前に宍道湖が広がります。宍道湖初対面。今日のウォーキングの前半は、ずっとこの宍道湖を眺めながらということになるはずです。

          

 静岡県の浜名湖と同じように、実は厳密には宍道湖も日本海とつながってはいます。しかし迷路のように中海(前回歩いた大根島あたりね)を通り、そして境港の北岸の境水道(前々回歩いた境港あたりね)で日本海へ出られます。つまり一応、河川を経由せずに外海に出られるということ。

 でもまぁ、現実問題としては、ほぼ湖と言っていいロケーションでしょう。シジミとウナギの養殖がさかんです。この日もなんだか吹き渡ってくる風がシジミのにおいがするなぁ〜、と思ったら、近くにシジミ汁のお店がありました(笑)。

 宍道湖の北岸を西進するので、今日の宍道湖はずっと左手にあります。そして右手には一畑電鉄。そんな結構単調な風景を眺めつつ、ところどころにある観光名所を眺めました。ウォーキング中なので観光名所を訪ねるわけではないのですが、どちらにしてもこの日はもともと台風の予報だったためか、あるいはまだ時間が早かったためなのか、ほとんどの施設がオープンしていませんでした。

     

 まず最初に松江イングリッシュガーデン。そして松江フォーゲルパーク。そして湖遊館。それぞれに一畑電鉄の駅もあり、この地域はぜひ一度ウォーキングとは関係なく訪ねてみたい所です。カップルが多いのかと思いきや、出雲大社も含めて「縁結び祈願」の地域なので、男ばかり、女ばかり、というグループも多いし、男一人、女一人、という観光客も結構目立つんですよね。本来なら僕も浮かないはずなんですが、この夏場に汗をかきかき長袖でウォーキングしている姿は、残念ながらさすがに浮いていました…。

 そんな浮いている僕にとって、唯一の心の友は、足元でウロチョロしているカニ。そうか、一緒に歩いてくれるのか!と思ったのもつかの間、僕は前方に歩きますが、カニは横に歩いて行ってしまったので、残念ながら同行することはできませんでした…(笑)。

               

 さて、宍道湖はその西半分は松江市から出雲市の所属になります。この看板から出雲市。前回の江島大橋(ベタ踏み坂)から始まった広大な松江市ともここでお別れです。そしてほどなく横長の宍道湖にも西の端が見えてきました。どんなに長いものにもいつか終わりは来ます。そう、明けない夜はない! この辺ですでに出発から4時間30分が経過していました。

     

 宍道湖が眼前から消えると、さっきまでの吹き抜ける風はなくなり、水田が広がる田舎の一本道になります。出雲市の中心街からは北にはずれた地域を歩いているので、大型車はあまり通らず、気分もいい。一畑電鉄の雲州平田駅があり、そこそこ大きな駅なので当初はこの駅までを目標としていました。

     

 しかし今日は雨も降らないうえに、太陽も顔を出さない曇り空。大して体力も使ってないし、これなら出雲大社まで行けるかな? ここまでおよそ25km。そしてここからおよそ15km。とりあえず軽食を食べてから考えようか。

 「ウォーキングの最中の食事は、いくら少食な男でも結構たくさん食べるでしょ? エネルギー使うから」とよく聞かれますが、真冬は別としても、真夏の長距離ウォーキングの最中はあまり大量には食べません。というか、「ご飯もの」や「油もの」はなるべく食べない。出発前の朝食は結構ちゃんと食べますが、歩いている最中は体力が消耗していて消化ができないのです。無理に食べたらきっと吐いてしまいます。だから、本当に軽食。今回はサンドイッチとドリンク。そしてスーパーカップのバニラ。

 昼食をとっていると、曇り空から太陽が顔を出し、晴れあがってきました。そうか、NHKのデータ放送の予報が正解だったか! 気温はグングン上がり始め、ついに30℃。そして湿度も95%に迫る勢いで、ここからはいよいよ体力勝負だな。今までと同じような水田の風景も晴れるとその景色は一変。見た目は気持ちよさそうだけど、いや、ホント暑い! 水分補給をした自動販売機の横には、かわいいカエルも座っていました。そうだよね、この湿度ならカエルも心地よくて外出するよね。

     

 出雲大社が近くなってくると、時間的にはもう夕方4時近く。やっと太陽の力も衰え始め、少しだけ快適に歩けるようになりました。今回のウォーキングは、昼食後、午後2時から午後4時までの2時間くらいが一番大変だった。長袖と帽子とタオルが大活躍した2時間でした。

 ここもまたあらためて訪ねなおさなきゃいけないな、と思った島根ワイナリーも通過して、ようやく到達した出雲大社。時刻は午後5時。せっかくなので参拝しようとすると…。なんとはるばる歩いてきた僕に対して「参拝時間終了」の無情宣告。縁結びの神様から文字通り「門前払い」されるというのは、どういうことでしょうね。

          

 まぁとりあえず、外にある賽銭箱にお金だけは投げ入れておきました。一応、顔だけは見せたからね。次に出雲に来るのは順当にいけば12月だから。その時には「さすが神様、いい仕事するね」って言わせてくれよ! 一円でもお賽銭もらったら、もうプロなんだから。責任もって仕事してね! と言い残して、今回の旅は終了となりました。実際には出雲大社から少しばかり南へ進んだ、一畑電鉄の出雲大社前駅が、今回のゴールです。

          

 次回はここから南西に向かって進みます。島根県はまだまだ東の入り口に入ったばかりです。先は長い…。  


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