第154回 出雲大社(島根県出雲市)→大田市(島根県大田市)
平成28年12月15日 晴れのち曇り 43.4q 7時間40分
夕日公園で見る朝日
前回は到着時間が遅すぎて出雲大社に入れてもらえませんでしたが、今回は出発が早すぎて同じく出雲大社に入れてもらえませんでした…。仕方ない。縁結びの神様にすら縁がないと思って、お社の方角に一礼だけして出発しようと思います。前夜の雪のせいで山々は白く雪化粧をしていますが、この日は朝から天気回復。朝日で赤く染まる鳥居に見送られての出発となりました。
まず最初に目に飛び込んでくるのは交差点に立つ出雲阿国(いずものおくに)像。現代の歌舞伎のもとになったと言われている女芸者なんだけど、最近は女芸人の「出雲阿国」の方が先に思い出されてしまうよね…。彼女はただ単に島根県出身ということだけで付けた芸名らしいけど…。もちろん本物の出雲阿国は奇声など発してはいません(笑)。
さらに進むと旧国鉄の大社駅。出雲大社を模した立派な駅舎なんだけど、残念ながら廃線となってしまった今は使われていない駅舎です。来てみて思ったのは、やっぱりこの駅は出雲大社から遠いんだよね。一畑電鉄の「出雲大社前」駅がある以上、確かにこの駅は廃れていく運命にあったのだろうなぁ…と実感してしまいました。
そしてこの廃れた駅を過ぎた小道が、スタートからの3800km地点となりました。
さて、出雲大社に思いをはせるのはこの辺りまで。ここからは海岸に沿って国道9号線へ南下していきます。後ろを振り返ってばかりじゃダメだね。前を向かないと! 今回のウォーキングは大田市を目指しているんだった。
くにびき海岸道路という道路をひたすら進んでいくことになります。まず最初に立ち寄ったのは「くにびき夕日公園」。きっと夕日が海に沈むのがものすごく美しく見えるんだろうなぁ…。でも今、目にしているのは夕日ではなく朝日(笑)。何だかすべてが中途半端に体験されるものだな。でもまぁ、これはこれでキレイといえばキレイか。
時には山あいの道となり、時には海を見る道になり、ロケーションとしては海にかなり近いところをずっと歩いているはずなんだけど、それなりに変化があって飽きない道です。冬の日本海もその名に恥じない荒々しさを見せてくれていて、ゴーッという怖いくらいの海鳴りもまたいいものだ。
ところで「くにびき」って一体どんな謂れなんだろうと思っていたら、道端の看板に答えがありましたよ。とにかく出雲市はひたすら「神の国」を強調したいみたいですね。前回、前々回と合わせて、日本武尊のイラスト、これで何回見ただろう? そういえば鳥取砂丘の白兎海岸にもあったはずだから、もう山陰地方は日本武尊でもっているようなものだね。
ボリビアにあるウユニ塩田って見たことありますか? 僕はもちろんテレビの画面でしか見たことないのですが、雨が上がったばかりの海岸道路の歩道には、素晴らしい「ウユニ塩田」が出来上がっていましたよ。空がしっかり映り込んでいて本当に見とれてしまうほど美しい。でもこれ、どうやって通ったらいいのだろうね? 大井川の渡しみたいに人足を呼ぼうかね(笑)?
歩き始めて3時間弱。道端に「幸せの鐘」が登場。こういう「恋人の聖地」って本当にあちこちにあるね。ここの鐘は、コインを購入して、恋人同士で手をつないで両側の赤外線にタッチすると鳴るらしいよ。こんなもん、一人でも両手広げればできるんじゃねぇの? と思ったけど、大人げない真似はやめておきました。見たところ何組かいたカップルも誰もやっていなかったようです。というかコインの購入場所がここではなくて近くにある施設なので、そこまで行くのが面倒なんだろうな。
ここでようやく国道9号線に合流。そこに道の駅「キララ多伎」があります。イチジクの有名な地域なのでいちじくアイスやいちじくクレープがありましたが、さすがにこの季節には手を出しませんでした。でもクレープくらいは食べてみればよかったかも…。まぁまた距離測定に来た時にでも食べてみようか。
ここからウォーキングも後半戦。今までの海岸道路とは違って、国道なので大型トラックがたくさん通り抜けていきます。もちろん歩道はちゃんとあるので大して気にはなりませんけどね。
気づくと歩道沿いに、日本海に向けて設置されている大砲が! これはいったい何だろう? 説明が書かれていたらしい看板があるのだけれど古すぎてまったく読めない。どこに向けていつ設置されたものだろう? まさか「キューバ危機」のようにロシアに向けて設置されたものとは思えないし…。これは今回は謎のままです。
宍道湖のほとりからずっと続いていた出雲市も終わりを告げ、ここから大田市に入ります。大田市は出雲国ではなく石見(いわみ)国。つまり地理上はすでに島根県も西部に入ってきたことになります。いよいよ山口県も近い? 下関もすぐかな? と思ったら、絶望的な標識が目に入ってきました。まだ250km以上!? 島根県ってどんだけ長いんだよ?
ほんの少しだけアップダウンをクリアすると、いよいよ大田市の市街が近付いてきました。道の脇には「掛戸松島」と言われるちょっとした岩が。期待薄く見に行ってみたら…。いや、これ、写真じゃ分かりにくいかもしれないけど、本物は結構荘厳で、ちょっと立ち尽くしました。ほとんど人もいないし、見に来てよかったな。
海沿いをずっと歩くウォーキングコースって、ともするとずっと海ばかりで疲れてしまったりするんだけど、ここら辺りの風景は、海があると思えば普通に平野があり、また水田と川が広がり、退屈しないウォーキングです。
歩き始めから約7時間半。視線の先に大田市駅が見えてきました。さっきまで広がっていた青空も急に黒い雲に覆われ、予報どおりこの後の夕方からは雨になりそうな気配です。降り出す前に到着できて良かった! 実際に到着したら、電車待ちの間にもすぐに豪雨となりました。
石見国は世界遺産の石見銀山を抱える古い町。今回のウォーキングでは石見銀山には行けませんが、また距離測定で通る時にぜひ立ち寄ろうと思います。次回はこのまま西進して日本海沿いを進もうか、南下して霧の都と言われる三次を経由して広島県の福山へ向かおうか、ちょっと試案の最中です。次回歩く時までに考えておきます。これが気まま旅のいいところでもあり、悩ましいところでもあるんですけどね。