第159回 長門大井(山口県萩市)→長門市(山口県長門市)

平成30年7月19日 晴れ 39.7q 10時間0分

本当に「いい」駅

 不要不急の外出は控えてください!と全国的に叫ばれている中、これ以上に不要なものはないほどの個人的なウォーキングの開催となりました。全国(特に東海地方)では40℃近い最高気温が観測されている中、萩市の予想最高気温は33℃とのこと。まぁ、体温より低けりゃ何とかなるわ、との判断で決行!

 今月初めの西日本豪雨の影響で出発地の長門大井駅を含む東萩〜益田間の列車が運休中。明後日には復旧見込とのことでしたが、それすらも「あぁもう復旧するくらいだから地盤もそこまで危険じゃないんだな」と楽観視。それでも運休しているものを走らせるだけの力はないので今回はバスで出発地までやって来ました。8時20分スタート。

                    

 最初の目的地である萩までは約9km、2時間強の予定です。海辺だからなのか、まだ朝方だからなのか、思ったよりも風があって歩きやすい。景観も抜群で、港にはたくさんのボートも停泊していて約2時間のウォーキングはまずまず快適でした。

     

 2時間弱ほど歩いたところで左手に世界遺産に指定されている萩の反射炉が見えてきました。この遺産は明治日本の産業革命を遺すものとして指定されたらしいです。実用化はされなかったみたいですがこのような反射炉は全国で2か所しか残されていないようです。

     

 ここを境に道は萩の市街地に入ります。海から少し離れると急に暑くなります。道路に設置された看板には朝10時30分で早くも33℃の表示が! 最高気温が33℃だったはずなんだけどな…、とやや不安。

                    

 東萩の駅前には萩城の模型が建っていて、いよいよ毛利家萩城下に入ってきたことを実感します。この白壁の通りを歩くとここが街ごと世界遺産に指定されていることが理解できます。壁にピタッとくっついたカタツムリ(?)もまた風情あり(笑)。今回はコースの関係で回れませんでしたが松下村塾をはじめまだまだたくさんの見どころがあるので、萩城下は必ず再訪したいと思います。

     

 城下町の次は萩城址。北の総門(写真左)と、その隣には萩出身で第26代内閣総理大臣を務めた田中義一氏の像(写真右)。江戸末期から明治初期、そしてさらに昭和にかけて、ここ長州が日本の激動の中心だったんだなぁということを改めて実感しました。くしくも今年は2018年。「いやーロッパさん明治だよ」の1868年からちょうど150年の節目の年に僕のウォーキングは山口県に到達しました。
 ちなみにこの像のちょうど正面がスタートからの記念すべき4000q地点となりました。

     

 京都市は景観条例の関係でマクドナルドが赤ではなくて茶色の看板になっている、というのは有名な話ですが、萩市の街並みにあるセブンイレブン(写真左)もモノトーンで驚きました。町全体で景観を大事にしているんですね。それにしてもこの長い壁(写真右)が学校の壁だとはさすがに気付きませんでしたよ。

     

 1時間以上萩の街並みを楽しんだ後、ここから今回のウォーキングも後半へ。JR山陰本線の玉江駅が萩の城下町の出口となります。時刻は正午。さすがに暑くなってきたのでクーリッシュを買って首に当ててみました。熱中症対策は太い血管の通っている首や脇の下を冷やすといいらしいですが、本当にその通りですね。しかも僕は融けかけのバニラアイスが好きなので一石二鳥です(笑)。

     

 しばらく海から離れて今度は山越えです。でもそれも1時間くらい。今回のコースは景観や立地が3〜4kmごとに変化するのであまり疲れを感じることなく歩を進めることができます。僕の歩いている目の前で、暑さのためにタイヤバーストを起こした車があってビックリしましたが、特に僕は被害を被ることなくて済みました。すごい音だったので驚きましたけどね…。

 国道は山の中へ入って行ってしまうので途中から県道に入ります。前方に三見(さんみ)の街並みが見えてきました。この三見地区はもともとは鄙びた漁村でした。今でも鄙びていないわけではないのですが、山陰自動車道のICができたために道も整備され始めていて、新たに道の駅も設置されました。静かな町であることには変わりはないのですが、それでも人の声は確かに聞こえてきます。

                    

 午後2時。一番暑くなる時間帯。僕もこの道の駅「さんさん三見」で涼をとりました。かき氷、火照った身体には最高です。鼻の頭が痛くなるのももちろん快感(笑)。目の前には汚れていない青い日本海。さらに売店のおばちゃんのサービスで首元に氷をたくさん入れてもらい、再びウォーキングに入りました。次の目的地はさらに奥にある漁村、飯井地区です。

     

 飯井地区は陸の孤島です。三見地区はICの開通により道路も整備されましたが、飯井地区は取り残されたまま。JR山陰本線の飯井駅がほぼ唯一の交通手段と言っていいでしょう。僕のウォーキングは東側から飯井地区に入っていきますが、まずはこんな感じの県道を頑張って歩きます。

                    

 1時間ほどで平地になり、飯井の漁村が見えてきました。集落の真ん中に萩市と長門市の境の川が流れているため(写真左)、萩市にも長門市にも飯井という地名が存在します。そしてそんな鄙びた漁村をJR飯井駅が見下ろす…。

     

 突然ですが日本で一番短い名前の駅は三重県の津(つ)駅です。ひらがなで1文字。でも津はローマ字だとTsuとなり3文字です。もうお分かりかもしれませんが、ローマ字で書いたときに日本で一番短い名前になる駅はこの飯井(Ii)駅です。他に粟生(Ao)、頴娃(Ei)などという駅も存在するので、あくまで「同率1位」ですけど。でもそんなマニアックな駅を訪問できてちょっと嬉しいです。

 なんて思ってたら、この「同率1位」の駅の中に名鉄の国府(Ko)駅も含まれていることに気付く。身近にあるものにはなかなか気が付かないものですね〜(笑)。

 それにしてもこの駅は漁村と海以外何もないけれど、何時間でも海風に当たって座っていたくなる本当にいい(Ii)ロケーションです。ここまでで今回のウォーキングは約23km。猛暑だし素敵な駅だし、今回のウォーキングはここをゴールにしようかなとも思っていました。

 でも少し風も出てきたし、ここからは時間的にも涼しくなり始めるはずだし、体力にも余裕ありそうだし…。というわけでもう少し先に進むことにしました。飯井の集落を今度は西側の地蔵峠を通って脱出します。こちらも道はこんな感じ(写真左)。本当に三方を高い山々に、もう一方を海に囲まれた地区なんですね。峠に向かう道から見下ろすとそれがさらによく分かります(写真右)。この町の良さも倍増!

     

 その名のとおり小さなお地蔵さんが鎮座している地蔵峠を越えるとあとは長門の街中まで下り坂。でもこれが長い長い…。しかも太陽が西に傾いてくると日陰になるべき木々の下が日陰にならない。夕方だから涼しく歩けるかもなんて思った自分は間違っていました。

 午後4時30分。ようやく山の中から出てきた国道と再合流。生きていたことを実感しました。でも看板を見ると長門市まではまだ8km。約2時間の道のりです。再びクーリッシュのお世話になり、首筋を冷やして、融け始めたバニラで喉を潤し、最後の力を振り絞りました。

                    

 長門市街に到着する直前、地蔵峠から飯井地区を眺めて以来の3時間ぶりの日本海に再会。夕照の海を今日のウォーキングの最後にもう一度楽しみました。時刻は午後6時近く。まだ太陽は出ているし気温も高いけど、やっぱり海の近くは風が優しい。だから潮のにおい好きなのかも…。

                    

 長門市駅まで残り1km。大きな交差点の真ん中に大蛇(オロチ)のような建造物が! 逆光になって見えにくいですが、この交差点からの各都市への方向が示されているのでした。交差点のど真ん中にオロチを出現させてビックリさせないでいただきたい。ケセランパサラン呼ぼうかと思っちゃいましたよ(笑)。

                    

 午後6時20分、夕日の射す長門市駅へやっと到着。ピッタリ10時間のウォーキングとなりました。後日の実測ではほぼ40q。それにしても暑い暑いウォーキングでした。熱中症搬送されなくて済んだのは海風とかき氷(とクーリッシュ)のおかげです。

                    

 下関まで約80kmとなり、だんだんと本州の西端が近付いてきました。嬉しくもあり、何だか寂しくもあり…。次回は長門市からさらに西へ進んで本州の西の端へ届きそうです。次回のウォーキングの後半から「西進」が「南進」に変わるのかなぁ…。


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