第164回 新山口(山口県山口市)→富海(山口県防府市)

令和2年6月15日 曇りのち晴れ 26.1q 7時間0分

また歩けるというだけで幸せ「ます」!?

 新山口に到着した前回のウォーキング、昨年の6月9日からほぼ1年、現実には1年と1週間ほどが過ぎました。何度も何度も続きのウォーキングを計画していたのですが、前立腺炎症の再発・豪雨・風邪っぴき・新型コロナの感染拡大、次々と計画は延期されてしまいました。22歳から始めたこのウォーキング、これまで1年以上間が空いてしまったことは一度もありませんでした。何だかもう二度と歩けないのではないかという気持ちにもなりましたが、今回また無事に第164回を実施することができました。

 朝8時、前回のゴールとなった新山口駅の北口、前回は優しく迎えてくれた種田山頭火(の影)に今回は逆に見送られながらの出立です。思いがけずもここに1年もとどまってしまうことになってしまいました。

     

 まずは山陽本線や新幹線の線路を横切りながら、まだまだ涼しめの県道を進みます。自然の匂いも久しぶりです。道端にマスクの束が落ちていました。つい先月までは新型コロナ感染拡大による全国的なマスク不足で、高値がつくどころか全然手に入らなかったのに、マスクの束が捨てられているなんて…。栄枯盛衰(!?)を感じてしまいます。

                    

 1時間も経たないうちに国道2号線に合流します。ふと道端に目をやると、国道脇にひっそりと花が咲いていました。徒歩でなくては気付けない場所で、目立たずに静かに咲く花。こんなほっこりした気持ちを持てるというウォーキングの醍醐味も、1年ぶりに思い出しました。

                    

 再び国道から少し外れると、新山口からたった一駅で在来線はこんなにも風情のある駅になってしまいます。この地域は鋳銭司(すぜんじ)。五街道ほど有名ではありませんが、それでも旧山陽道に沿った街道なのでそれなりに歴史がある街です。維新の十傑の一人、大村益次郎ゆかりの地でもあります。このゆったりとした県道のすぐ隣を幹線である国道2号線が走っているので、この日は取り締まりの白バイが何台も行ったり来たりしていました。

     

 ほどなく僕のウォーキングも国道2号線に再合流。左手にはちょっとした池が見えてきます。ここは長沢池。水面を風が吹き渡っていて心地いいです。この池は水上のゴルフ打ちっぱなし練習場になっています。こういう練習場ってボールは再利用できないのかなと思っていたら、夜に水に潜ってボールを集めてくるらしいですね。潜る係の人は大変だな…。

                    

 この池を眺めながら、山口市から防府市へと入ります。県境はもちろんのこと、市町村境の看板もいつもとても楽しみにしているのですが、残念ながら「防府市」を示す看板は生い茂った樹に隠れていて見えませんでした(下の写真左)。でもたぶん描かれているイラストは防府天満宮に間違いないでしょう。ただ、それよりも気になった看板は「幸せます」の挨拶文(下の写真右)。「幸せです」じゃないのかな? 山口県では名詞に「です」じゃなくて「ます」を付けるのかな? これについては後で解決することになります。

     

 ここで道端のコンビニで小休止。お手洗いを済ませ、ドリンクを補充しました。まだ曇っていて涼しめですが、6月半ばですから汗は出ています。一人で歩いている最中は、新型コロナ感染よりもむしろ脱水症の方に気を付けなくてはね。

 主要国道なので交通量はそれなりにありますが、左手の道路を走る車からの大きな音に対して、右手の大自然からは初夏の草いきれが鼻に届きます。素敵な匂い。現在、新型コロナウイルスが世間を騒がせていますが、車からも草木からも間違いなくこのウイルスは感染しないので、マスク無しでこの匂いを堪能しながら、ゆったりと安心してウォーキングを楽しみました。

                    

 ここで右手に佐波川橋が見えてきます。この橋の手前、ガソリンスタンドが立ち並ぶ国道沿いがスタートからの4200q地点となりました。佐波川橋を渡って、しばらくはまた国道2号線とはお別れします。橋の上からは防府の街並みが一望できます(下の写真左)。天気もいよいよ曇り空から青空に変わってきました。防府市は防府天満宮で有名な街です。太宰府天満宮、北野天満宮と並ぶ、日本の三大天満宮です。今回は歩くコースから少し外れているので駅前から心の中で参拝を済ませました。

     

 ここから今回のウォーキングも後半に入りますが、早速ですが疑問が1つ解決しました。商店街の名称。どうやら「幸せます」は「幸せ増す」ということらしいです。山口県独特の言い回しなんですかね。もしかしたら防府市に特有の、天神さまのお言葉なのかも知れません。

                    

 前半の国道沿いとは変わって、後半のコースは自然を満喫できるコースです。所々に名も知らぬ(と言っても知らないのは僕だけで、実際にはたぶん有名な花なのだと思います)キレイな花が咲いています。

     

 ちなみにこの花はさすがに僕でも知ってます。アジサイ。そして右は…たぶんシャクナゲ…かな?(やっぱりちょっと自信ない)

     

 街並みも小径に民家が並ぶ感じの田舎道になり、シロツメクサが一面に広がる草地も眺められたりしながら…。

     

 しかし天候も前半とは異なって、午前中に吹いていた心地いい風が弱まってきました。湿度こそ少ないものの、こうなってくると30℃という気温がそのまま体感されるようになってきます。そんなときは…。やはり夏のウォーキングにはクーリッシュバニラがよく似合いますね。首筋に当てて身体を冷やし、溶けかけたアイスを味わって、一本で二度使える美味しさ(笑)。

                    

 ここからコースは県道からもさらに外れて、山陽本線沿いの道へ。線路の横を歩きながら、右手前方には海が見えてきました。暑くはなってきていたものの、海風はやはり素敵です。

                    

 全然知らなかったですけど、ここは窯業が盛んな地なんですね。僕の地元の愛知県や岐阜県も陶磁器の盛んな地域ですが、やはり土が良いからでしょうか。愛知県と岐阜県は大昔は東海湖と言われる湖の底だったと言われていて、だから焼き物に適した土が取れると言う説を聞いたことがあります。もちろん山口県も何と言っても秋吉台に代表されるようなカルスト地形ですからね。それにしても道沿いに何の監視もなく無造作に作品が並べてあるのにはビックリしました。しばし立ち止まって、海風を浴びながら鑑賞しました。

                      

 国道や県道はトンネルを通過してるこの区間、僕は海の間際の道を歩きます。目の前に見えてきている砂浜は、今回のウォーキングのゴール地点となる富海(とのみ)の海岸です。足元を見ると…。さすがに海沿いですね。道の真ん中でヘビが一休みしていました。ヘビってトグロ巻いてないこともあるんですねぇ。

     

 右手には青い海。左手には壮大な竹やぶ。そんな自然を目一杯楽しみながら、とうとう富海の海岸に到着しました。防府市の東の端になります。

     

 森高千里さん、一定の年齢以上の方にとっては南沙織さんかな、「17歳」って曲。その歌い出しの「だ〜れもいない海」、そのモデルになったのがここ富海の海岸です。作詞された有馬三恵子さんが防府の出身で、その彼女がおっしゃっているのだから間違いないと思います。残念ながら今日はチラホラと「だ〜れか歩いてる海」ですが、それでもこの白砂の海岸は静かで素敵です。

                    

 ここまででおよそ25qくらい。まだまだいつもに比べたら短めの距離ですが、それでも1年以上のブランクを経ているので今回はここをゴールとしました。とにかく今回は、また以前のように長距離を歩ききれたことに本当に感激したゴールになりました。

 富海海岸からすぐの所に、昭和の赤いポストとともに佇む山陽本線の富海駅。正式には今回の到着地はこの駅です。だから次回の第165回のウォーキングはこの駅から始めることになります。次回はさらにここから椿峠を越えて東へ進み、周南へ向かっていく予定です。地図上では山口県の東半分に入ってきましたが、広島県に入るにはまだ数回はかかりそうです。

                    
  


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