第165回 富海(山口県防府市)→光(山口県光市)

令和2年7月28日 曇り一時雨 35.4q 9時間40分

「誰もいない海」から「虹色の海」へ!?

 先月半ばに到達した富海、再び降り立つことができました。前回は絶好の海日和でしたが、今日は生憎のどんより天気。おかげで今回こそ本当に森高千里さんの「17才」そのもの、だ〜れもいない海です。天気予報は断続的に雨が降ると言っていますが、「断」の時間帯もあるということを信じて、朝7時30分、富海駅を東に向かって出発しました。

     

 すぐに旧山陽道らしく富海の本陣跡があり、さらに国道を渡ると立派な構えの円通寺がありました。このお寺のお手洗いがあまりにもきれいだったので、早速ですがここで小用を済ませて、まずは椿峠へ上っていきます。

     

 国道は歩道がなくて危険だという情報だったので、集落を通る田舎道へ。小雨が降り出してはいましたが、そのぶん靄も立って素敵な静寂でした。道路工事のために少しばかり予定より大回りになりましたが、とても気持ちいい30分の上りでした。

                    

 峠から振り返るとさっき出発してきた富海の海が曇り空のもとに広がり、昔読んだ真壁仁さんの「峠は決定を強いる所だ」というフレーズを思い出しながら富海に別れを告げます。さらに防府市にも別れを告げて、ここからは周南市へ。新しい景色を思うと峠は楽しいけど、1つの世界に別れを告げなくてはならないから寂しい、分かるなぁ…。

     

 今回のウォーキングコースの中で、この峠前後の200mくらいだけが歩道がないコースです。この区間だけはどうしても避けられませんでした。多少道路脇が広くなっているので何とかなりそうでしたが(ストリートビューで確認してありました)、大きなトラックもたくさん通るので、ここで大雨になるのだけは勘弁してほしいと祈っていました。

                    

 何とか小雨のまま峠越え。まだまだ街までは遠いですが、無事に標高は低くなってきて、道の駅「ソレーネ周南」で一息つきました。長距離歩きにはマスクはもちろん着用しませんが、このような施設やお店に入るときにはマスクをしてから入ります。「ソレーネ」とは方言で「そうだね」という意味らしいです。この道の駅はしばらく前に、富田林署からの脱走犯がバックパッカーとして身分を隠して働いていた、そしてここで身柄を拘束されたとして全国的にニュースになった所です。

 山あいにある小さな道の駅。今日は天気のためか、はたまた平日だからか、もしかして全国的に新型コロナの感染が再拡大してるからか、人の数はまばらでした。お手洗いを済ませて売店を見ると…。アマビエが乗った(!?)ソフトクリーム。子牛一頭分のソーシャルディスタンスをとろうにも周囲に人はいなかったのですが、このお店自体が午後1時からの開店だそうで、残念ながら食べられないまま道の駅を後にしました。後日、車で距離測定に来た時にはぜひ食べてみたいと思います。その時にはアマビエなんて乗せなくてもいいくらいに新型コロナが落ち着いてるといいなぁ…。  

     

 ソレーネ周南を出ると急に雨足が強くなってきました。運がいいことに歩道が広い所で、しかも人通りも少ない所なので、傘をさしても安心して歩けます。雷が鳴り出さないことを祈りながら…。

 出発から2時間半。富海を出て今日初めての鉄道駅、戸田に到着です。「とだ」ではなく「へた」と読みます。防府(ほうふ)、富海(とのみ)、戸田(へた)、難読駅が続きますね。

                    

 相変わらず雨は激しいですが、やっと少し街並みに入ってきました。国道から県道へ。高架橋の上から眺めると、はるか右前方に徳山の工場群が見えます。雨にかすんではいますが、今回のウォーキング前半の目的地が見えてくると少し勇気づけられます。

                    

 福川を越えて、新南陽駅辺りからはもう徳山の工業地域です。ちょうどお昼時となり、工場勤務の方々がたくさん歩いていて、お昼をとるためにお店に続々と入っていっていました。僕の休憩は別にお昼時じゃなくてもいいので、もう少し歩を進めて1時近くなってからコンビニへ入りました。まだまだ先は長いのでガッツリした食事はとらず、軽食とドリンクと、そして夏ウォーキング定番のクーリッシュでリフレッシュしました。

                    

 出発から5時間半、ようやくウォーキング前半の目的地、徳山に到着。昨夜の宿泊地でもあります。駅を横目に見ながら、さぁここから後半戦。

                    

 徳山駅前通は、ストーンミュージアムとして各国で取れた石が展示してあります。海に浮かぶ黒髪島が徳山ミカゲでできているから石にこだわってるんでしょうかね。こういうのは道行く人々(まぁこんな旅をしている人がそんなにたくさんいるとは思えませんが)を飽きさせません。晴れ間も出てきたので、一つ一つ立ち止まりながら鑑賞しつつ歩きました。

     

 次の駅、櫛ヶ浜までは約1時間。徳山の工場港とはまったく雰囲気が変わり、こちらはひなびた漁港です。同じ海でも、今日の出発地である富海のような白砂青松の海、徳山のような工場港、この櫛ヶ浜のような漁港、なぜだかそれぞれ違った薫りがしてそれぞれ素敵です。海は繋がってるはずなのに不思議です…。

                    

 周南市を一気に通り越して次は下松(くだまつ)市。晴れ間もあったのに再び曇り空になったかと思うと、あっという間にまた雨が降り出してきました。いったんコンビニで小休止。スマホで天気予報を確認すると、1時間ほどで小降りになるらしい。西の空を見ると確かに明るい。これは元気になりますね。足はまだ余裕あり。よし、もう一駅先まで行こう!

                    

 再び海沿いに出ると下松市から光(ひかり)市へ。曇天なのが残念ですが、ここも虹ヶ浜と呼ばれる黒松の並んだ素敵な海があります。今日も雨の後だから太陽さえ出れば虹が見られそうだけど…。残念ながらそこまでうまくは物事は運ばないようです。

     

 午後5時10分、今回はこの光をゴールにしました。到着地が漢字1文字なのは、第11回の関、第54回の楠、第55回の津(以上三重県)、第108回の泊(富山県)、に次いで、僕のウォーキングでは5回目です。かつては残忍な殺害事件で名前が全国的に有名になってしまった光市ですが、海風が薫る、まさに虹色に光る街です。光駅も虹色に光っています(笑)。今回のウォーキングは、「誰もいない海」を出発して「虹色の海」までのコース、曇っていたのが本当に残念でした…。

                    

 山口県もだいぶ東の端が近付いてきました。まだ次回は東端の岩国には届かないと思いますが、看板には岩国の地名が見られるようになりました。 


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