第168回 玖波(広島県大竹市)→広島(広島県広島市)

令和3年6月1日 快晴 31.7q 8時間0分

夏の安芸、朔日の廿日市と五日市

 6月1日、季節は梅雨です。でも今日は梅雨も中休み。雨など一切気にすることなく悠々と歩けそうな天気です。でもそのぶん暑さと紫外線には気を遣うことになりそうですが…。

 前回ようやく山口県から広島県に突入しました。今回は玖波から、次は岡山県に向かって広島歩きの始まりです。愛知から始発の新幹線と在来線で玖波に到着したのが午前10時。もうすでに太陽が高くなっている中で、元気にスタートです。

                    

 右手にはすぐ近くに海。今日は南風なので潮の香りがこれでもかというほどに漂ってきます。もちろん素敵な香り。日常ではなかなか感じられない空気をしっかりと肺に詰め込みます。

 40分ほど歩くと大竹市から廿日市市に入ります。廿日市市は日本三景の1つ、安芸の宮島がある市です。でも宮島フェリーの乗り口はまだまだ7kmほど先。そこまでは長い長い国道2号線をひたすら歩きます。

     

 ふと右を見ると海のすぐ向こうに陸が見えます。あの陸は何なんだろう?と思って地図を確認してみたら…。なんとあれこそが宮島なんですね。宮島は赤い鳥居のあるあの景色だけが頭に浮かんでいましたが、あそこは大きな島のほんの一部で、宮島自体はかなり南西の方まで鎮座しているのですね。ちなみに宮島は島全体が神聖な聖域らしいので、今見えている何の変哲もない島も実はありがたい景色なのでしょう。

 道端を見ると、貝殻が大量に積まれています。広島とは言ってもたぶん牡蠣の殻ではないと思うのだけれど、僕は牡蠣が好きではないからあまりよくは分からない。でもこんな景色も漁師町ならではなんだなと感心しました。

                    

 大野浦を過ぎて前空駅辺りまで来るとようやく国道沿いにも民家やお店がチラホラ現れます。特に前空駅前の蕎麦屋さんの水車はなかなか素敵でした。時間的にちょうどお昼時で混雑していたので残念ながら入店はしませんでしたが、混雑してるということはきっと美味しいお店だと思います。

    

 貝殻や水車以外にも道端に咲く名も知らぬ花たちにも心を洗われながら、12時半近くなった頃、ようやく宮島口に到着。ここで今日のスタートから10kmくらいのはずです。宮島フェリーに乗って宮島へ渡るのはすでに昨年体験済みなので、今日はこのままウォーキングを続行。そうそう、僕はギャンブルにまったく興味がないので気にも留めませんでしたが、宮島はボートレースも有名なんですね。

    

 宮島からはJR山陽本線とともに広島電鉄も並走します。何だか急に周囲が賑やかになった感じがします。広電はさすがに私鉄ですね。JRとは比べ物にならないほどに駅間が短くて、地域の足になっているんだなと感じました。僕の今日のゴールはまだまだ先だけど、もしアクシデントがあった時のためにも転々と駅が存在していてくれるのは心強いです。

 阿品駅を過ぎると国道2号線は西広島ランプでバイパスと一般国道に分岐します。僕はもちろん一般国道の方へ。実を言うと岩国辺りからここまで国道2号線は大型トラックが多くて少し歩きにくさを感じていました。廿日市市に入ったあたりには歩道が無い区間も少しあって、結構ビクビクしながら歩いていたので、ここからバイパスが分岐してくれるのは非常にありがたい。思った通り急にトラックがほとんどいなくなりました。それと同時に右手にはまたまた潮の香りが漂う海。素敵な昼下がりです。

    

 それでもさすがに少し疲れてきて暑くもなってきたので、ここで夏ウォーキング定番、バニラクーリッシュ。まずは首筋に当てて身体を冷やし、次に溶けてきたクーリッシュを吸いながら歩く。二度も有効利用できる、素敵な旅のお供です。

                    

 身体も少し復活して、ふと道端を見ると…久しぶりにモニュメント! こういうものに気付けるのも車じゃなくて歩いてる旅の醍醐味です。それにしてもゾウとクワガタが同じ大きさという、縮尺を無視したところがなかなか秀逸でした(笑)。

                    

 廿日市市を通過するとようやく広島市内に入ります。最初に足を踏み入れるのは佐伯区。広電の楽々園駅が雑然とした街中に佇んでいます。それにしても楽々園。不思議な駅名です。ちなみに次の交差点は海老園。「えびえん」!?とか思ったら「かいろうえん」と読むのでした…。他にも○○園という地名がたくさん。広島市には多いんでしょうかね。

    

 五日市駅を過ぎるとよいよ県庁所在地に入ってきたことを感じさせる人の多さになってきました。さらに新井口(しんいのくち)駅あたりは太陽光直撃の一本道。このあたりはかなり疲労のピークでした。

                    

 それでも一歩一歩足を動かして進んでいくと、10kmほど前に西広島ランプで別れたバイパスと庚午交差点にて垂直に再会しました。でも僕は垂直交差をしたまま、バイパスには合流せずに北上して己斐方面へ。JRと広電の駅が並ぶ西広島駅です。

    

 この駅には2つの魅力があります。1つは駅入口。残念ながらシャッター街になりかけている商店街通りに、駅入口が突然ポッカリと口を開けています。2つ目は広電の軌道。ここまで専用軌道(要するに普通の線路)を走り続けてきた広電が、この駅を出た交差点から道路の中央に出てきて路面電車に早変わりします。

 広電とともに太田川放水路を渡ると、橋の上から広島のビル群が眺められます。ついに広島中心部が近くなってきました!

                    

 ここからしばらくは街路樹や小さな公園が作られている広い道路をトボトボと歩き、せっかくなので一本北側の道路に移って原爆ドームを眺めました。10年以上前に一人旅で一度訪ねたことがありますが、自分の足で歩いてくるのは初めてです(←当たり前か(笑))。教科書で見たままの原爆の跡が目の前にそのまま残っていました。

    

 夕日に背中を押されながら、午後6時に広島駅に到着。駅の南口が工事中のために仮の駅名標しかないのが残念ですが、無事に県庁所在地までたどり着けました。県庁駅をゴールにしたのは第27回の静岡、第55回の津、第105回の富山、第113回の長野、第152回の松江、に次いで6回目です。

                    

 広島からはそのまま山陽道を三原や尾道に向かって東進するのもあり、海沿いに呉や広を通って行くのもあり、中国山地を三次に向かうのもあり、どんなルートを進もうか次回までゆっくり考えたいと思います。


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