第169回 広島(広島県広島市)→西条(広島県東広島市)

令和3年9月6日 曇り時々晴れ 33.8q 8時間50分

中野東と東中野、東広島と西広島と北広島

 

 下関から山陽地方を東に向かって歩き始めて7回、前回のウォーキングでようやく最初の区切りである広島に到着しました。山口県から始めると最初に通る県とはいえ、広島市はまだまだ広島県の西側の都市。今回からさらに東へ東へ歩を進めていきます。本当は北東へ進んで霧の都、三次を目指すコースとか、南東に進んで呉や広などの海沿いをトレースするコースとかも候補にありましたが、直近の大雨による水害と新型コロナ蔓延の件を考えて、とりあえず真っ直ぐに地元に近付いて行こうという結論になりました。

 さて、9月の声を聞いて朝晩は少しずつ涼しくなってきたように感じますが、それでもやはり日中は暑い。予報では曇りがちな一日になるとのことなので、それを頼りに朝8時、ウォーキングスタートしました。

                    

 前回は西の方から広島市街へ「向かう」ウォーキングだったので、宮島口辺りから段々と都会へ入っていく雰囲気でしたが、今回は逆に広島市街から段々と郊外、そして自然へ向かうコースです。やっぱり歩くのならマイナスイオンを浴びたいもの、喧騒を置き去りにして進んで行くのは、いつも本当にワクワクします。

 スタートしてすぐにマツダスタジアムを横目に見ながら、周囲は通勤通学をする人たちでいっぱいです。当然いつものようにジャージ姿に首タオルの僕は浮きまくりますが、こんなのはもう慣れました(笑)。道沿いの幼稚園や小学校の校門前では先生方が生徒をお出迎えしていて、通り行く僕にもにこやかに挨拶してくれますが、きっと心の中では平日にこんな姿の成人男性を不審に思って警戒していることでしょう。でも大丈夫! これももう慣れてます。そんなことをお互いに心に抱えつつ顔ではにこやかに「おはようございます!」、いや、日本人は素敵ですね。

                    

 しばらくはマツダの工場群の賑やかな中を歩きますが、この辺りの駅名って漢字が想像を裏切ります。
むかいなだ…×向灘→○向洋
かいたいち…×解体地→○海田市

     

 そしてこちらは漢字で書くのは難しくないけど一瞬、バス停か高校名かと思ってしまう「中野東」。普通は駅名なら「東中野」になるものだけどなぁと思っていたら、どうやら東京に東中野駅が存在するからわざわざ中野東駅にしたみたいです。東日本と西日本とは言え確かに一応同じJRですから、「東中野→東中野」なんていう切符を買う人が現れると紛らわしいですからね。まぁそんな買い方する人がいるとは思えないけど。

                    

 他にも、東広島駅も西広島駅も広島駅に隣接してないなぁとか、北広島駅は遠く離れた北海道にあるなぁ、南広島は駅こそ無いけど埼玉県に存在するなぁ…。さらにどうして安芸市は広島県じゃなくて高知県? などと、頭の中でいろんな思索を巡らせながら心地よく歩いていると、いつの間にか周囲は広島市街の喧騒が完全に消えてしまっていました。

 海田市を越えた辺りから、瀬野川に沿った素敵なコースになるのですが、国道2号線の対岸にひっそりした県道が並走しているので、こちらを歩くことにしました。この海田市から中野東までの間の瀬野川右岸の細い県道、春日大社参道前がスタートからの4350km地点になりました。旧山陽道(西国街道)らしいので、他にも所々に歴史を感じさせるものも残っています。この松並木もその1つ。かつては領主や領民を出迎えた松が、今朝は河川敷を散歩する犬と老人を見守っています。

     

 中野東駅を越えても相変わらずの細い県道沿いに民家が連なっていますが、ふと左手を見上げると、坂の上に広島国際学院大学が突然そびえ立っていました。決して都会の真ん中という立地ではないものの、交通も不便ではなく、山の中腹から綺麗な川も見下ろせて、落ち着いた素敵な雰囲気の大学だなぁと思いました。

                    

 さらに前方を見ると、広島の市街地以来(と言ってもここもまだ広島市内なんですが…)久々に見る住宅街。そして丘の上の住宅街まで伸びるスカイレール。そのスカイレールの麓には山陽本線の瀬野駅があるはずです。今日のウォーキングの前半の目標地点が近付いてきています。

                    

 ここで時刻もお昼過ぎ。大きなレストランがあるわけではないし、やはりこのコロナ禍に遠方から来ているので、なるべくお店ではなく外で軽食をとることにしました。今回はコンビニで買ったおはぎどら焼きにしました。コンビニ前に小さな公園があったので、ここをお借りして軽食を済ませました。

    

 お腹を満たした後、その瀬野川の名のとおりの瀬野駅へ。スカイレールが設置されるだけあって、タクシーも常駐する大きな…いや、決して大きくはないけど、賑やかな感じの駅です。

                    

 あらためて丘の上の住宅地まで直結のスカイレールを真下から見ると、何だか壮大です。でも確かにこれがあったら自家用車ではなく電車を利用しようという気持ちになると思う。こんな大がかりな設備を作る予算があるなんて、地理的には外れの方に位置しているとは言ってもさすがはまだ政令指定都市の広島市内です。

 すると…ちょうどスカイレールが走ってきました。あ、懸垂式なんですね! かっこいい! 住民じゃなくても乗れるのかしら? ぜひ一度乗ってみたいものです。景色も絶対に良いだろうし。

                    

 さて、今回は悠々と歩けるコースはここまでです。ここからの後半戦、次の八本松駅までの区間は大山峠越えです。瀬野駅と八本松駅のそれぞれの頭文字から、通称「セノハチ」と呼ばれた、かつては山陽本線の急勾配難所だった箇所の1つです。

 もちろん歩いていても山が迫ってくる感じです。しかも歩くことを想定してないからか歩道もなくなります。駅を越えてすぐはまだ狭いながらも歩道がありますが、段々と頼りなくなってきます。道端の稲穂も、そしてマイナスイオンたっぷりの川面と花々も、今のうちにしっかり写真に収めておきます。花粉の時期以外は歩く時は基本的にマスクはしていないので、花の香りも水の匂いも充分に堪能させてもらいました。

    

 瀬野公園への入口交差点を過ぎると、いよいよ歩道なし区間が始まります。交通量はかなり多目です。写真は車がいない時を狙って撮りましたが、大型トラックも含めてかなりの台数が、かなりのスピードで通りすぎていきます。並走する区間のバイパスがあればまだこの交通量も緩和されるのでしょうが、現在はバイパスを建設中…。だから余計に大型トラックや工事車両が走るのか。現代の歩き人にとっても「セノハチ」は難所でした。

                    

 それでもフッと道端を見ると、いろんな物が目に入ります。車でのドライブなら絶対に見つけられないようなもの。ナスの花なんて初めて見ました。紫っぽい花なんですね。そう言えばナスの実も紫だな…。

                    

 歩道が所々で現れたりまた消えたりを繰り返しながら、車にも気を遣って歩を進めていると、広島市から東広島市へ入ります。大山峠はまだもう少し先になりますが、地図上でここまで進んだんだなという勇気は湧いてきます。太川陽介さんたちのように決してジャンプはしないものの、やはり県境や市境は何だか嬉しいものです。

                    

 志和インターとの交差点を過ぎるといよいよ大山峠が見えてきます(下の写真左)。相変わらず歩道は無いものの、頂上が見えると心に余裕が出てきます。大型車の多くは前の交差点でインターの方に行ってしまったのか、交通量も少し減ってきたような気もするし…。そしてようやく頂上! 振り返ると上ってきたそこには道が後ろに続きます(下の写真右)。登坂車線まで設置されてるくらいだから、やはりそこそこの急勾配だったんだろうなぁ。よく頑張った!自分。

    

 「瀬野」という文字が書かれていた電柱や標識には、いつの間にか「八本松」という文字が書かれるようになっていました。八本松町宗吉、何だか八代吉宗に見えてしまうのは僕だけでしょうか(笑)?

                    

 しばらく歩いて山陽道の長尾一里塚を越えると八本松駅。瀬野駅から一駅しか進んでないのに、何だか果てしなく遠くまでやって来た気分です。まぁ峠を越えたから当然なんですが、こう言った感覚も歩き旅でないと味わえないものです。

    

 今回はもう少し進みます。山陽本線沿いに歩いて、新しくできたばかりの寺家(じけ)駅へ。セノハチを越えてきたので、この辺りの普通の(!?)道路は少し物足りない感じさえしてきました…。

 そして午後4時50分、西日本なのでまだ明るさは充分に残る中、東広島市の市役所がある西条駅へ到着。新幹線の東広島駅は地理的にはここから少し離れた所にありますが、あくまでも東広島市の中心駅はこの西条駅です。駅前ロータリーも学生や会社員で賑わっていて、タクシーやバスもたくさん並んでいます。

                    

 西条は酒蔵の街としても有名なんですが、その通りは駅よりも少し東にあるのでそこを歩くのは次回のお楽しみです。次は節目の170回目、冬を越えて春になってからになるのかな。いよいよ地理的に広島県の真ん中に入っていく予定です。
 


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