第17回 御油(愛知県豊川市)→三河東郷(愛知県新城市)
平成11年6月6日 晴れ 24.5q 5時間50分
お茶の産地近し
美濃・近江の旅から帰り着き、約1ヶ月ほどゆっくりと休息をとりました。豊川での新しい教員生活も順調に始まりしばらくすると、やはり旅の虫がうずき始めます。水戸黄門であればどこかの藩主の娘がやって来て「うちの藩に不穏な影が忍び寄っています。」「よし、助さん、格さん、参りましょう。」となるのでしょうが、当然僕にはそのようなお声がかかるはずはないので、自分自身で意を決して新しい旅を始めなければなりません。社会人としての生活サイクルもメドがついたということで、今回は奥三河へ向けて出発しました。新たな旅の始まりです。
自宅を出発ということで、電車の時間を考えることもなく、早朝5時40分に旅立ち。見慣れた道をゆったりと歩き、昔通園していた西明寺幼稚園を眺めながら、また国分尼寺跡の脇を歩きながら、八南小学校を経て千両街道に出ました。田んぼの稲も緑色を醸し出し、また勝手知ったる道ということもあって、チョットした散歩気分で歩きました。
この県道は豊川市の北部・一宮町の北部を抜けて新城市の西部に至るコースで、歩道も完備している上に大型トラックも少なくて、とても歩きやすいコースです。千両小学校辺りから日差しも強くなってきて、汗を拭きながら歩を進めました。
現在は一宮町は豊川市に合併(併合!?)されていますが、この当時はまだ宝飯郡一宮町でした。日吉原自衛隊演習場の脇が、豊川市と一宮町との境になっていました。今は一宮という名前すら住所から消えてしまっていると聞きますが、もともと一宮とはその地域の一番の神社があることに由来する地名であり、宝飯郡一宮町の場合は砥鹿神社を指しているらしいです。他にも愛知県西部には一宮市があります(一宮「市」は全国でここだけ)。またお隣の静岡県西部には遠州一宮があるし、岐阜県には飛騨一ノ宮もあります。数えだしたらキリがないでしょうね。こういう由緒ある地名はぜひ消さないでいてほしいものです。
一宮町に入ると一層自然が深くなり、足山田・西原・下長山・炭焼・東上と、ずっと左手には山々が連なっていて視界が広がりません。ちなみに下長山(しもながやま)という地名は、豊川市の中央部にある上長山(かみながやま)という地名とつながりがあります。もともとこの両地域はどちらも単に「長山」という地名でした。しかし両地域はそれほど距離が離れているわけではないので、話し合いの結果、混乱を避けるためにお互いに「上」「下」を冠することに決めたそうです。この両地域は現在はどちらも合併した「豊川市」に属していますから、今になって考えると上下の区別を付けておいて良かったですね。
炭焼古墳群を越えた辺りにはマレットゴルフ場(訪れる客もそれほど多くなく、料金も手頃なのでなかなか楽しめます)があり、ここから坂を少し上るといよいよ新城市に入ります。牛の滝という小さな滝があり、道は少しだけ折れて国道151号線バイパスに入ります。この国道151号線は地元では「151(いちごぅいち)」と呼ばれ、飯田線にほぼ沿う形で奥三河地方の幹線道路になっています。豊川インターチェンジ辺りでは片側2車線の立派な道ですが、一宮町に入ってからは片側1車線となり、そのまま長野県との県境へ向かいます。かなり拡張工事が進んでいるものの、現在もまだ対面走行になってしまう箇所も所々残っています。そして県境を越えた長野県側は、工事もまだ着工されないまま狭い道が残っていて、豊川市の人間がそれを見たら「えっ!? これがあの151なの?」と驚いてしまうことでしょう。
さて僕が歩いた国道151号線の新城バイパスは、新城市街を通らずに新城市北部を通り抜ける新しい道です。片側1車線なのですがところどころ2車線になっており、車だと非常に走りにくい。これならずっと1車線にしておいた方がいいような気がします。事故というのは車線の合流地点で起こりやすいものですからね。まぁ僕は今回は歩きなので何の問題もないのですが、ここらで喉も乾いたので道端の自動販売機で飲み物を調達することになりました。何を飲もうかと自動販売機を見ると…。
目に付いたのは「オレンジ茶」。一瞬目を疑いましたが、静岡県も近いし、新城市内でも静岡県と接している八名(やな)ではお茶の栽培もしているということなので、そういった影響でしょうか? それにしても「オレンジジュース+お茶」って…。せっかくなので飲んでみました。果たして味は…? おいしい! というよりただのオレンジジュースのようでした。今もこのオレンジ茶はあるのでしょうか? もう一度飲んで確かめてみたいのですが…。
新城東高校の前まで来ると道は右に折れ、旧国道151号線に合流するために飯田線の跨線橋を渡ります(現在は右に曲がらなくても、直進してさらに鳳来の方まで一気にバイパスで抜けられます)。跨線橋の上から茶臼山駅が見えました。愛知県で唯一スキー場がある「茶臼山」とは恐らく関係がないのですが、それにしてもここがなぜ「茶臼山」なんでしょう? 特に山もないように見えますが…。
暑くなったのでこの辺りでストップしようかと思いましたが、せっかく早朝に出発したのだからと思い、もう少し頑張ってみることにしました。次の飯田線の駅は三河東郷駅。この駅は国道151号線に沿った所にあり、足もだいぶ痛くなってきたので今回はここを終着地としました。この後、飯田線で豊川駅まで戻り、そこから名鉄で御油まで帰ってきたのですが、それでもまだ昼の1時過ぎ。やはり早く活動を始めると1日が有意義に使えますね。
次回はさらに奥三河へ入り込んでいきます。