第175回 伊部(岡山県備前市)→赤穂(兵庫県赤穂市)
令和5年5月23日 曇りのち晴れ 距離未測定(40,920歩) 6時間50分
初夏なのに「ばんしゅう」赤穂!?
地元豊川は小雨が降っている早朝5時30分、でも岡山県は晴れているとの予報を信じて、日帰りで岡山県までウォーキング旅にやって来ました。出発時はまだ曇ってはいたものの、一日を通しておおむね晴れ。暑すぎもせず、もちろん寒くもなく、とても快適な歩き旅となりました。日帰りなのであまり長い距離を歩けなかったのが少し心残りですが…。
朝9時50分、前回のゴールとなった備前焼の街、伊部を出発! ちなみに今回からはスマホを機種変したおかげで万歩計機能が付いているので、歩数をカウントすることができるので楽しみが1つ増えています。
さて、山陽地方を東へ向かっているこの旅は、広島から内陸部をまわるコースをとっていたため、このところずっと海を見ていませんでした。なので今回は瀬戸内海の内海をゆっくり眺めながら、久しぶりに海風を浴びるコースです。歩き始めて30分もしないうちに早速舟を目の当たりにして、潮の香りが鼻腔に流れ込んできました。
伊部から少し海に出たこの辺りは、浦伊部という地名のようです。大きな工場が立ち並んでいて、残念ながらトラックの往来が激しい少し歩きにくい国道でした。所々に歩道はありますが、設置されていない箇所ではかなり気を遣って歩き進めることになりました。なので、マリーナがある区間ではマリーナの敷地内に少し踏み込ませて歩かせてもらいました。
それにしても右手にはすぐ近くに波の音。「眼下に」ではなく本当にほぼ同じ高さに内海の水面。右手から自動車専用道路である岡山ブルーラインが合流してくるまでのコースは、まさに絶景。ブルーラインの片上大橋は残念ながら歩行者通行禁止ですが、この素敵な海の上を走っているようで、きっとドライブしても心洗われる風景なんでしょうね。
伊里を越えると少しだけ開けた街並みになり、ホームセンターや民家があって落ち着きます。それでも一面に藻が広がる池を右手に眺めながら歩くと、あっという間に今日1つ目の峠となる木生峠に到達。それほど標高は高くないし、峠といっても民家も連なっているので、「あぁ、確かに少し上って来たなぁ」というくらいの感覚です。ちなみに右手にそびえたつ山は夕立受山という、なんとも風情のある名前の山だそうです。
峠を下りると小学校があり、日生の集落が近付いてきます。この辺りは道端に軒を連ねるお店にこぞって「カキオコ」と書いてあって、一体何なのかなぁと思いながら歩きました。どうやら「牡蠣のお好み焼き」が名物らしいですね。気にはなりますが、実は僕は牡蠣が苦手なので、ウォーキング中に体調が悪くなってもいけないので、名物とはいっても今回はパスしました。
日生の街はとても明るい、漁港で栄える街です。あちこちで魚をさばく光景や停泊する漁船が見られ、駅の近くには碇のモニュメントもあります(これは兵庫県の日本海側の竹野にもありました)。実は僕はここで少し道を間違えてしまったのですが、駅へ向かう道をお聞きしたら親切にも船着き場でお弁当を売ってみえたご老人が交差点まで同行して案内してくださいました。
ここでちょうどお昼過ぎになったので、日生駅前の食堂に立ち寄って穴子丼をいただきました。こじんまりした店内にお客さんと店主の話し声や笑い声が響く、素敵なお店でした。いつか車で距離測定に来たときはぜひ「カキオコ」にも挑戦してみたいと思います。
日生は小豆島へ向かうフェリーも発着しているようです。また日生諸島へ運航する定期船の待合所もあったので、ここは船旅も楽しそうな観光地なんですね。観光と生活の両方に船が密着している雰囲気の街でした。
昼食を終えるとここからウォーキングは後半戦。大きくないとは言え、まだまだ峠が2つ待ち構えています。小さな小さな寒河駅を越えると道はダラダラとした上り坂になり、また民家も途絶えました。峠に到着する直前には右手に美しい池。青い空と緑の山と湖面のコントラスト。初夏ですね。思わず見とれて写真を撮りました。
残念ながら峠の前後はまた歩道が無くなってしまいますが、峠には素敵な花壇。そしてこの福浦峠が岡山県と兵庫県の県境になります。写真ではちょっと読みにくいですが、振り返ると「ようこそ岡山へ」と書いてあります。僕の旅は前を向いて、ここからは兵庫県赤穂市。
僕のこの徒歩旅で兵庫県を踏むのは2度目です。第148回の旅で兵庫県新温泉町を去って鳥取県岩美町へ入って以来、約8年ぶりに兵庫県へ戻ってきました。あの日のウォーキングは大雨と雷鳴の中でのものでした。今日の兵庫県は正反対に晴れ渡った青い空、そして地理的にも日本海側の兵庫県最北部と瀬戸内海側の兵庫県最南部という正反対の位置です。でもどちらも鄙びた漁村が続く国道沿いという共通点もあり、あの日のことを考えながらの県境越えでした。
峠の向こう、兵庫県に入っても下り坂になっただけで緑が両側に連なっているのは変わりません。ようやく低地に下りてくると、点在する民家と田畑の向こうに、遠く遠く青い海。峠とは言いながら海からもそれほど離れていないのですね。こういう遠目に山間から見える海、大好きです。
右手には備前福河駅。この地域は合併時に岡山県に入ったり兵庫県に入ったりしたために、今は兵庫県にありながら駅名には「備前」が付くという不思議な現象が起こっているみたいです。ちょうど駅に電車が到着したので撮影しました。さぁ、今日の峠はあと1つです。
赤穂市街に出る前の最後の峠、鳥打峠です。標高は100mにも全然満たない峠。しかも歩道はばっちりある。こういう峠は気持ちも楽ですね。あっという間に坂を下り切って、播州赤穂の1駅手前の天和駅に到着しました。
この駅は正式には「鷆和」と書くのでしょう。駅前の信号機の標識には「鷆和」の文字がありました。「鷆」が難しいので天和という表記にしてあるのでしょうか。たとえそういった理由でも、「天和」と書けば麻雀では最高の役「テンホー」です。全国各地に様々な「〇〇の聖地」が誕生してしまう昨今、この駅は雀士たちの聖地になっても全然不思議ではないような気がします。
播州赤穂駅の周囲は工場が立ち並んでいるので、天和駅から播州赤穂駅までの1駅間はちょっと大まわりをすることになりますが、おかげで草むらの中でウロチョロしているリスらしき小動物を見かけました。落ちている種でも食べているのでしょうかね。残念ながらなかなかこちらを向いてはくれませんでした…。
赤穂は言わずと知れた忠臣蔵で有名な赤穂浪士の街。ちなみに赤穂では赤穂浪士とは言わずに赤穂「義士」と言うらしいです。播州(ばんしゅう)とは言いながら、緑美しい初夏(しょか)に到着しました。今回はここ播州赤穂駅をゴールにしました。次回のウォーキングは、松の廊下でのあの事件を伝えたという早駕籠も越えた高取峠を越えて、相生へ向かっていきます。次こそ来るのはちゃんと晩秋(ばんしゅう)になるのかな。