第27回 焼津(静岡県焼津市)→静岡(静岡県静岡市)
平成11年12月12日 晴れ 19.9q 5時間10分
美人のいる街!?
さぁいよいよ県庁所在地、静岡市に向けて出発です。とは言っても、焼津から静岡まではそれほど遠いわけではありません。JR東海道本線の駅にして3駅。焼津駅から用宗、安倍川と続いて、その次はもう静岡駅です。しかし…
「用宗」と聞いて、知っている人は知っていると思いますが、用宗駅はJR東海道本線の記念切手の図案になっている駅です。それはこの駅の前後の区間が、東海道本線建設の際にもっとも苦労した場所だからだとか…。つまり地形的にかなり厳しい場所なのです。
国道150号線は焼津駅を静岡方面に出ると、すぐに歩道がなくなります。そして断崖絶壁にへばりつくような道になります。左手は絶壁、右は太平洋。つまり平地はほとんどない。ここは「大崩海岸(おおくずれかいがん)」と呼ばれ、その名の通り道路を建設するのにも一苦労した地域。当然鉄道は長い長いトンネルの中をずっと走っていきます。よってここが難所となったことは想像に難くないでしょう。
そんなわけで、この国道は歩道がなく危険なので別のルートを探すことになりました。国道150号線のこの区間にはもう1本バイパスも走っているのですが(こちらはトンネルでこの区間を貫きます)、こちらも歩道は無し。トンネル内なんて歩道が無けりゃもっと危険です。そこでさらに北側を走る国道1号線の方を回ることになりました。こちらは旧東海道なのでさすがに歩道は充実しています。今回の「奥三河・甲斐・木曽路の旅」では初めて国道1号線を歩くことになりました。
当然こちらも峠越えとなりますが、宿場としては岡部宿と丸子(まりこ)宿との間の宇津ノ谷(うつのや)峠がそれにあたります。ここは安藤広重の「東海道五十三次」でも暗〜い感じの絵が描かれています。ただ、峠と言ってもそれほど高低差があるわけではない上に、今はトンネルができているのでまったく「峠」という感じはありません。それでも両側を山に囲まれていることもあって、昼間でも「薄暗さ」だけは往時のまま。特にトンネルの静岡市側は少しのドライブインがあるだけで、非常に静かです。
余談ですが、このトンネルの前後に道の駅「宇津ノ谷峠」があるのですが、ここは下り線に1つ、上り線に2つ、計3つの道の駅があるというちょっと変わった道の駅です。3つとも静かな雰囲気のある道の駅なので、ぜひ訪ねてみて下さい(ちなみに僕はこのうち2つの道の駅で車中泊を経験済みです)。
宇津ノ谷峠を越えると静岡市内へ。丸子宿は「とろろ」が有名な宿場町で、道沿いにたくさんの老舗が軒を連ねていましたが、僕は「とろろ」はまったくだめなので残念ながら素通りしました。この辺りの薄暗い交差点(交差点名は「赤目ケ谷」)がスタートからの500qポストになりました。区切りの500q。う〜ん、よく歩いたものだ。でもまだここは通過点の1つです。旅には終わりなどないのです、「終わらせること」はできるけど(byポルノグラフィティ)。
安倍川を越える辺りでようやく視界が開けてきて、橋の上から遠くに富士山を望むことができました。焼津から丸子宿までは、距離的にはそれほど富士山から遠いわけではないのに、山が邪魔して富士山が見えないのです。伝説に寄れば、富士山は非常に嫉妬深く、自分の視界に入るところに美人を置かないと言われています。つまり焼津から丸子宿辺りの地域には美人が多いということなのでしょうか。でもウォーキング中には「それらしき」人には出会わなかったですけど…!?
安倍川を渡る国道1号線は、特殊な構造になっています。橋脚の幅の関係なのでしょうが、上り下り合わせて3車線になっています。つまり上り下りのどちらかが1車線で、どちらかが2車線になっている。そしてそれは混雑する時間帯によって変わることになっています。しかし、さっきまで真ん中の車線は上りだったのに、ちょっと時間が経ったら下り(反対向き)になってしまったりしては、運転者としては危険きわまりない! (自称)プロドライバーである僕にとっても、ここはとても運転しにくい区間の1つです。かつては「越すに越されぬ大井川」と言われていましたが、現在の国道1号線はこの「安倍川」の方が通行の難所になってしまっているような気がします。
安倍川を渡ると、大崩海岸を走ってきた国道150号線と再会して、すぐに静岡駅に到着。少し大回りをしたものの、とてもいい雰囲気の宿場町に出会えた今回のウォーキングでした。
次回は静岡・清水の市街地を興津まで歩きます。