第31回 市之瀬(山梨県西八代郡下部町)→市川大門(山梨県西八代郡市川大門町)

平成12年3月5日 晴れ 17.1q 4時間0分

クマ出没!

 先に断っておきますが、僕は生きています。そして念のために書いておきますが、実際にクマに出会って戦って勝利したわけでもありません。ただし、そのような可能性が大きい場所であったことは事実です。

 今回の出発地となった市之瀬駅は、前回の旅日記に書いたとおり、非常に人里離れた場所です。目の前にはどこかの石材会社の石像(七福神など)が置いてあり、異世界を思わせます。さらに、この日の出発は早朝7時10分。視界には全体にモヤがかかり、本当に天上の世界に迷い込んだのかと思うような神秘的な雰囲気です。ここから目の前の細い一本道を丘の上に向けて上っていきます。

   

 ほんの1時間弱でこの小高い丘の向こう側へ到着します。そこもまだまだ山あいの里なのですが、歩き始めた市之瀬駅付近よりはまだ人間のにおいがする。丘の向こうを通って来たJR身延線の久那土(くなど)駅もあり、すぐ近くには峡南高校という学校もあり、通学する生徒の姿もあって、この日のウォーキングで初めて「七福神以外の人間」を目にしました。

 印鑑の街、六郷町を通り(道路脇に印鑑のモニュメントがありました)、さらに割子峠という小さな峠を越えるとようやく視界が開け始めます。ここからが甲府盆地の南端、市川大門町になります。この「市川大門」っていう街の名前、漢字四文字以上の(ひらがなやカタカナが入っていない)名前って何だか重みがあっていいですよね。この名前は10世紀に荘園がさかんだった時代、公領の一部として「市川荘」という荘園が作られたことに由来します。ずいぶんと古い名前なんですね。

 その後、この市川大門町が近隣の街と合併するというニュースを聞いて、「市川大門という名前を消さないでほしいなぁ」と思ったものですが、隣の六郷町、三珠町と合併して現在は「市川三郷町」という名前になっています。う〜〜ん、微妙ですねぇ。ま、とりあえず「市川」という名前だけは残りましたが…。

 ここからは特に難所もなく、しばらく離れていた富士川もまたかなり接近してくると、今回の終着地である市川大門駅に到着します。隣に大きな病院もあり、この近隣の駅の中ではかなり大きな部類に入る駅です。しかし市之瀬方面に戻る電車は本数が限られていて(半数の電車は次の鰍沢口(かじかさわぐち)駅で止まってしまうのです)、この駅で約2時間近く電車待ちをしました。

 後日の話になりますが、この歩いた日から2週間後くらいに何気なく新聞を読んでいると、「市川大門町の県道でクマが出没! 地元の男性1名が襲われ意識不明!」といった記事を目にしました。やはり生息している所には生息しているんですね…。これからはコースの下見の時に、「クマが出没しそうか」ということまで調べなくてはいけないなぁ、と思ったものでした。

 次回で富士川を北上する旅も最後となり、韮崎へ到着します。

 


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