第35回 茅野(長野県茅野市)→みどり湖(長野県塩尻市)
平成12年5月21日 晴れ一時雨 24.4q 5時間40分
神の歩く湖
前回から長野県に入りJR中央線に沿って歩き始めています。このまま忠実に中央線をトレースしていくと諏訪湖の北岸を歩いて塩尻に到着します。このコースは道も非常に歩きやすいのですが、一カ所だけ歩くのに危険な場所があります。それは塩尻峠。この峠は一風、高速道路のランプウェイのようになっていて(もちろん歩道もなく)かなり危険! よってこの諏訪湖北岸を歩くコースから急きょ変更し、諏訪湖の南岸を歩くコースをとりました。結果的にこの変更は大成功でした。
茅野駅から南に向かって歩き始めると、すぐに茅野市から諏訪市に入ります。道の正面には諏訪大社の大きな鳥居があります。諏訪大社は信濃の国の一宮(今回の旅は本当に「一宮」という地名をよく通るなぁ)で、諏訪湖南岸にあるこちらの社が男神のいる「上社」、北岸にあるのが女神のいる「下社」になります。冬には諏訪湖の湖面が凍り、凍結→収縮→水が流入→膨張→湖面のひび割れ、という経過を経て、湖面に一筋の亀裂が走ります。これは「御神渡り(おみわたり)」と呼ばれ、上社の男神が下社の女神に会いに行く足跡だという伝説もあります。冬にしか見られないということで、僕もまだ一度も見たことはありません(この現象自体もいろいろな要素がすべてそろわないと起こらないので、もちろんたまにしか見られません。一度も見られない年もあります)。
この日は基本的に晴れ。しかしザ〜ッと一雨くるかもしれないという予報だったので、一応傘を持っていきましたが、これが大正解! 15分くらいのにわか雨が数回あり、この傘は大活躍しました。そして雨の後は再び晴れ。当然のようにきれいな虹! 最高の景色です!
諏訪湖は長野県のほぼ中央にあり、太平洋に注ぐ天竜川の水源になります。僕はずっと木曽川の源流だと思っていましたが、違うんですね。ということはこの諏訪湖の水がいつか流れ流れて、今回のこの「奥三河・甲斐・木曽路の旅」の第21〜24回で共に歩いた天竜川に行き着くということになります。遠回りしたものの、天竜川の上流まで歩いてきたことになり、感慨もひとしお!
さて諏訪湖が右手に見えなくなると、コースはJR岡谷駅に到着。この駅は現在の大半の飯田線の列車が発着する駅になっています。ここから普通列車豊橋行きに乗ると、約6時間かけて豊橋に乗り換えなしで到着できます。一応ターミナル駅ですがそれほど大きいわけではなく、駅前はちょっとしたロータリーがあるのみ。今回のウォーキングはここからもう1つ山を越えて塩尻方面に向かいます。
岡谷駅を過ぎると住宅の並ぶ丘を上り、鳥居平公園に向かいます。この公園は諏訪湖の西側に横たわる山のほぼ頂上にあり、ここから見下ろす諏訪湖はまさに絶景。視界のすべてが諏訪湖になります。徒歩なのでその景観をじっくり堪能することができました。
鳥居平公園では家族連れが結構何組か遊んでいて、僕も腰を下ろしてアイスクリームを口にして一休みしました。この先はずっと下り道になります。
下りに差し掛かると間もなく、岡谷市から塩尻市に入ります。ここは太平洋から運ばれてきた塩と日本海から運ばれてきた塩が到着する地ということで、「塩尻」と名付けられました。現在も東京から走ってきたJR中央線(こちらはJR東日本の管轄で中央東線と言います)と名古屋から走ってきた中央線(JR東海の管轄で中央西線)、長野方面から走ってきた篠ノ井線がすべて集まってくる交通の要衝になっています。ちょうど南東、南西、北から3本の線路が集まってきているので、まさに分岐地点といった感じです。今回は塩嶺カントリークラブを通り、塩尻駅の1駅手前のみどり湖駅を終着地としました。この駅は住宅地の中にある閑静な駅で、道路からかなり低い位置に作られているのでさらに落ち着いた駅になっています。この駅の詳しい話は次回の旅日記で。
次回は塩尻から中央西線に入り、いよいよ木曽路の入り口まで到着します。