第36回 みどり湖(長野県塩尻市)→日出塩(長野県塩尻市)

平成12年5月27日 晴れのち雨 14.3q 3時間10分

いよいよ木曽路へ

 今回は、前回の終着地(=今回の出発地)であるみどり湖駅についての紹介から書き始めたいと思います。この駅はJR中央線に属する駅ですが、他の中央線の駅とは少し違った特徴を持っています。

 もともと中央線は、東京から名古屋間を信州経由で結ぼうということで敷設された鉄道です。この点については中央自動車道も同じです。東京から塩尻までのルートを決定するには特にもめることはないのですが、塩尻から先はそうでもありません。飯田市を通る伊那谷ルートと中山道に沿った木曽谷ルートの2本が候補にあがりました。木曽谷は深山幽谷、伊那谷はそれなりの人口(「谷」とは言っても実際は「盆地」ですからね)、とすれば当然伊那谷ルートが有力となるのも自然な流れです。現に中央自動車道は伊那谷を通っています。ところが…

 決定されたJR中央線のルートは何と木曽谷! 怒った伊那谷の住民は地元の代議士に頼み込んで、伊那谷の入り口である辰野に向けて中央線をV字型に迂回させてしまいました。このせいで中央線は岡谷駅から塩尻駅に向かうまでとんでもない大回りをすることになってしまったのです。後世になり岡谷駅から塩尻駅までの直線短縮ルートがトンネルで新設され今はそちらがメインルートになっていますが、この時岡谷駅から塩尻駅の間に唯一造られた駅が、今回出発地となるみどり湖駅なのです。

 そのような経緯からこの駅はトンネルから出たばかりの寂しい場所にポツンと存在しています。周囲には徐々に住宅が建っていますが、この頃はまだあまり人の気配はなく、ひっそりとした雰囲気の中で今回のウォーキングが始まりました。

   

 歩き始めてすぐに塩尻駅の案内板が見えてきます。比較的大きなターミナル駅ですが、今回はここは素通りして引き返し名古屋方面へ戻って行きます。田んぼの真ん中を寂しげに走っている国道19号線。ここでは片側1車線のせまい道ですが、このまま名古屋の熱田神宮まで続いていきます。その頃には片側4車線もの道になっているはずです。塩尻市から熱田神宮まで走り通すと200q近くになるのでそんな車は少ないとは思いますが、これを今回から何回かかけて歩き通そうというのだから、思えば壮大なことをやっているものですね(実際は熱田神宮までは行かずに多治見から進路変更してしまいましたが、この時は熱田まで行く予定だったのです)。

 塩尻駅から1駅目の洗馬(せば)駅の手前がスタートからの700qポストになりました。その洗馬駅を過ぎた辺りからパラパラと雨が落ちてきました。傘は一応持っていたのでこのまま歩き続けようとも思いましたが、せっかく木曽路を歩くのならば晴れた日に歩きたいなぁと思い、今回はやや消化不良でしたが次の日出塩(ひでしお)駅を終着地としました。日出塩駅は旧道の宿場町にほどなく近い、雰囲気のある無人駅です(塩尻から中津川までの駅はほとんどが無人駅ですが…)。

   

 この日出塩駅から少しだけ南に下がった地点に「これより南木曽路」という道標があるので、今回歩いたコースは厳密にはまだ木曽路ではないと思います。でも両側に山が迫ってきて、いよいよ木曽路!っていう空気になってきました。何と言っても「木曽路はすべて山の中」ですからね。

 次回は木曽路に入り、まずは奈良井まで到着します。

 

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