第4回 美濃山崎(岐阜県海津郡南濃町)→関ヶ原(岐阜県不破郡関ヶ原町)

平成11年1月17日 晴れ 26.9q 6時間10分

20qの壁

 過去3回のウォーキングからおぼろに感じていること…。「20qの壁」ってあるのかなぁ。いつも12〜13qを越えるあたりから足が痛くなり始めるんだよなぁ…。

 今回はちょっと頑張ってみようと思い立ち、目標到着地を関ヶ原に設定しました。いつも(当然のことながら)歩く前に車で実走調査をします。距離はもちろん、果てしなく危険な箇所(例えば歩道のない長いトンネル、クマが出てくる可能性が推測70%を越えそうな山道、などなど)まで調べ尽くします。今回の実走調査では、出発点の美濃山崎駅から途中の養老駅まで約13q、関ヶ原まで行くとその倍くらい、と分かっていましたが、さらに養老駅から関ヶ原駅までの間には駅がない(鉄道が通っていない)ということも分かっていました。これはつまり、もし養老駅を越えた後で歩けなくなってドロップアウトしようと思っても不可能であるということを意味しています。

 ま、でもバス停はあるし、その時はその時だ!と決意し、関ヶ原駅を目標に設置しました。よって車は近鉄線沿いの駅ではなく、関ヶ原駅の所属するJR東海道本線との接続駅である大垣駅に置きました。その方が疲労状態であろう帰りに長い時間列車に揺れなくて済むからです。今現在でも、車は出発点よりも到着点に近い駅になるべく置くようにしています(駐車場の有無、あるいは有料無料にもよりますが)。

 大垣駅から電車に揺られ美濃山崎駅へ。朝10時前後ということもあり車内はガラガラで、濃尾平野をじっくり見渡しながらちょっとした旅気分! これから20q以上歩くんだ、という不安を少しでも忘れようとしていたのかも知れません。

   

 さて今回は養老山脈をずっと左手に見ながら進むことになります。しかしあまりにも近すぎてその姿はほとんど見えません。いや、見えすぎていて「山脈」だと気付かないだけでしょう。ただただ左手には視界をさえぎる「壁」が横たわり続けているといった感じです。羽根谷交差点では左手に「さぼう遊学館」というのがあるようでしたが、この時は立ち寄りませんでした。こういった資料館・博物館巡りは結構好きなんですが、当たり外れの差が大きいですよね(ちなみに後にこの遊学館を訪ねる機会がありました。養老山脈が地すべりしてきたら…という設定での防災対策館のようなものでしたが、小さいわりに工夫のこらされたなかなか楽しい遊学館でした)。

 その先、駒野交差点で道は大きく分かれます。直進はこのまま国道258号として大垣へ一直線。左折は県道に入り、引き続き養老山脈沿いに進んで関ヶ原へ。今回はもちろん下見どおり左折して関ヶ原へ向かいました。

 相変わらず左手には養老山脈(壁)、右手には濃尾平野。途中、津谷交差点で右折して小さな脇道に入りました。茂みの奥には近鉄の美濃津屋駅。ここは周囲に人家もあるので一級品の「秘境駅」とは言い難いですが、なかなか味のある駅です。興味ある人はぜひ訪ねてみて下さい。他サイトになりますが、「区間全駅」というサイトで調べてみるのもいいでしょう。とにかく歩いていてさえ「探すのに一苦労する」駅です。

 その駅を過ぎるといよいよ養老町への境界があります。南濃町に別れを告げ養老町へ一歩入った所が、歩き始めからの50qポストになりました。この50qポストはこれから先も50qごとにチェックしていきますが、ウォーキング後に車で実測しているのでかなり正確なはずです。

 養老町に入るとすぐに上多度小学校という学校があります。そう言えば南濃町にも下多度小学校というのがあり、これらは前回歩いた三重県の多度町と何か関係があるんですかね。もし関係があるとすれば、県を越えて同じ地名が影響を与えているなんて何か不思議なつながりを感じてしまいます。隣県とは言っても小さな町どうしで県境に大きな山や川があるわけではないですから、こういったことも十分あり得そうな気もします。…とゆっくり歩いていると本当にいろいろなことを考える「時間的余裕」があります。思索には最高の時間です。

 やっとのことで近鉄養老駅へ。観光地とは言ってもあまり大きくはない駅です。しかしさすがにタクシーはちゃんと常駐しています。一応養老タクシーの呼び出し電話番号をチェックしてウォーキング続行! 足はまだまだ大丈夫。ここを過ぎると駅は関ヶ原までありません。歩ききるしかないのです!

   

 比較的大きな県道に出るとまたまた民家は見えなくなり田園が広がります。そして道端にポツンと精肉工場。「飛騨牛養老ミ〜〜ト」のCMでおなじみの養老ミートです。こんな山に囲まれた田舎道にあったんですね。

 やっとのことで長い長い養老山脈が途切れると(ここは養老山脈の北端)、今まで隠れていた真っ白な伊吹山が遠く前方に見えてきました。雪に全身を包まれた伊吹山を眺めて、何だか感動。しかし…いつまでも感動している場合ではない! やばい、足が疲れてきた。広瀬橋で牧田川を渡る頃(後の実測で約20q地点でした)にそう感じ始めました。ここから養老町を立ち去り上石津町に入ります。標識によれば「関ヶ原まであと6q」。こういった標識には、時にはその距離に勇気づけられ、時にはその遠さに絶望させられます。とにかく頑張れあと1時間半。でも足は限界近し。果たしてたどり着けるのか!?

 まぁこうやって旅行記書いているんだから到着できた(午後4時到着)のですが、やはり疲れは2〜3日抜けませんでした。でも結局またすぐに旅の続きをしたくなるんですけどね。

 関ヶ原駅からJRで大垣駅まで戻りましたが、足がパンパンで大垣駅の跨線橋の階段を上るのにも一苦労でした…。でも本当に心地よい疲れってあるんですね。結局「20qの壁」なんてありませんでした。陸上の100m走だって、一昔前までは誰も10秒を切れずに「10秒の壁」なんて言われていましたが、今は9秒台が出てきているし。どんな事でも自分から壁を作ってしまってはダメですね。勉強になりました。

 次回は関ヶ原から西進し、再び県境を越えて滋賀県に入ります。


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