第42回 南木曽(長野県木曽郡南木曽町)→中津川(岐阜県中津川市)
平成12年11月3日 雨のち曇り 24.7q 6時間0分
島崎藤村も今は昔
木曽路の旅も最後の回、南木曽駅(三留野宿)を出ると、木曽路の宿場も残すところ2宿となります。その2宿は妻籠(つまご)宿と馬籠(まごめ)宿。歴史の趣深い、山あいの2宿です。
現在は国道19号線が走っているので、ここを車で走れば南木曽から中津川までは20分ほどです。しかしこの国道はあまり広くない上に歩道がない箇所も多いので、今回のウォーキングは旧中山道を忠実にトレースすることになりました。先に書いておきますが、もし車で木曽路をドライブをするのであれば今回僕が歩いたコースはお薦めしません。道も非常に細く、道路からタイヤを外してしまったらアウトです。人通りも少ないですから…。この区間は国道19号線もそれなりに趣があるので、そちらを走っても充分楽しむことができます。
南木曽から国道と反対側に向かうかなり急な角度の坂道を上り、熊が出てもおかしくないような道を歩くこと1時間。まずは妻籠宿に出ます。この宿場はそれほど標高の高い場所にあるわけではなく、まさに「谷あいの村」という感じ。その点では馬籠宿とはまったく違います。いったん道は広くなり、国道19号線からもこの宿場町に入ってくる道(国道です!)があります。この国道は南木曽から山を越えて飯田まで走っていますから、逆に言うと飯田からも妻籠宿に楽に遊びに来ることもできます。
妻籠宿を過ぎるといよいよ馬籠峠を上り始めます。ここからが今回のウォーキングのメインです。上り坂は急坂になったり緩やかになったりしながら峠の頂上に向かっていきます。途中には雄滝・雌滝という滝があり、歩いている道からそれほど遠い所にあるわけではないのでちょっと立ち寄って見学していきました。まぁ素敵な滝ではあるけれども、奥三河にある阿寺の七滝を知っているので、う〜んそちらの方が壮大な気がするなぁ。地元の身びいきですかね…。
雨がパラパラとしている中、頑張って峠まで上り切るとそこには往時の雰囲気を残したままの峠の茶屋。もちろん腰を据えて一休みしました。このコースは観光地化され過ぎているわけでもなく、かと言って人里離れたコースというわけでもなく、ゆっくり歩くのが好きな僕にとってはかなり好感の持てるルートです。この日は小雨の影響もあり視界がもやでかすんでいて、非常に幻想的でもありました。
しかし峠の向こうに広がる馬籠宿(この頃はまだ長野県でした。今は越県合併により岐阜県に属しています)は観光バスが往来する見事な(!?)観光地になってしまっており少し残念でした。僕としてはひっそりとした石畳の上をしんみりと歩きたかったのですが…。島崎藤村はどう思っているでしょう。
馬籠宿を抜けると県境も近くなり、第33回の旅で山梨県から足を踏み入れて以来歩いてきた長野県を立ち去り、岐阜県に入ります。この後長野県に再び足を踏み入れるのはず〜っと後の第112回の旅まで待たなければなりません。ちなみに岐阜県に立ち入るのは第5回の旅で寝物語の里を通って滋賀県に抜けて以来になります。
馬籠宿の端から中津川の市街を眼下に見下ろすことができ、「これより北木曽路」の碑を通過すると、中山道木曽路は名実ともに終わりを告げます。急坂を下って、先程まで眼下に広がっていた中津川市街に吸い込まれていき、今回の旅は中津川駅を終着点としました。塩尻市以来の久しぶりの「市」はやはり大きく感じられました。
次回は中津川からさらに岐阜県を南下します。