第55回 楠(三重県三重郡楠町)→津(三重県津市)
平成13年10月9日 晴れ 24.8q 6時間40分
再び途方に暮れる
今回も前回と同じ、楠駅付近に車を置いてウォーキングをスタートしました。そしてこれまた前回と同じく、下見もあまりしっかりしていませんでした。「喉元過ぎれば…」というやつで、こういった人間がそのうち大きな痛手をくらうのですね(今回くらってしまったわけですが)。
この日は勤務していた高校の学園祭の代休で、周りの人々は平日で出勤している中、僕一人が旅人風情で町中を闊歩していました。周囲からはどんな風に映ったのでしょうかね!? でもとにかくみんなが仕事なのに僕だけ休み、というのは嬉しいものです。
最初にたどり着いたのは白子港。三重県は工業港だけでなく漁港もとにかく多いのです。地図を見てもらえば分かりますが、三重県は驚くほど南北に長い形をしています。南は紀伊半島の南端近く、北は伊吹おろしを受けるくらい岐阜県側に延びています。岐阜県も同じく南北に長いですから、岐阜県の飛騨地方(富山県に近い地域)と三重県の紀伊地方(和歌山県に近い地域)が隣県だなんて、何だか信じられませんね。三重県にいたってはその細長い身体の東側はずっと海に面しているのですから、必然的に港が多くなるわけです。
この辺りの漁港の特徴は、とにかく民家のにおいがすること。漁港の近くには取れた魚を小売りする直売所が非常にたくさんあり、地元民だけでなく観光客も楽しく立ち寄ることができます。僕は歩いている手前、荷物を多くできないので何も買いませんでしたが、生臭いにおいのする町というのは、イコール人間味の漂う漁村だということになるのでしょう。こういった町を旅するのもまた一興です。
ずっと離れていた国道23号線を走るトラックの音も耳に入り始め、さてどの辺りで国道に戻ろうかと考えていましたが、やはり少しでも長く海沿いを歩いていたいので、行けるところまで堤防を歩くことにしました。しかぁし!!!
やっちまった!! 行き止まりである。目の前には近鉄の線路が行く手を塞ぎ、その向こうには国道23号線が! 道はどう目を凝らしても足下で終わっています。そこから先は草むらが広がるのみ…。第8回の旅以来、久しぶりの行き止まりに遭遇しました。だから下見をしっかりしときなよって言ったのに…!
まぁとにかく一服しよう! ということになり、行き止まりの堤防に腰を下ろしてしばし海を眺めました。10分くらいだったと思いますが、こうやってゆっくりする時間もいいものです。な〜〜んにも考えずに頭の中を掃除している時間は、まさに命の洗濯ならぬ「頭の洗濯」とでも言うのでしょうか。
しかし洗濯の時間が終わると、当然のように目の前には「行き止まり」という現実があります。第8回の旅で行き止まりにぶち当たった時はおとなしく引き返しましたが、今回はあれから3年半、僕は成長して(無謀になって)いました。えぇい、草むらでも進んでしまえ!! 幸いにも近鉄線の線路下をくぐる小道もあったので、無事に国道23号線に出られることができました。ほっ…。
こういった様々な経緯があり、そろそろお腹もすき始めていたので、国道沿いのお寿司屋さん(回転寿司)に入りお腹を満たしました。この回転寿司は久しぶりに大当たりで、僕はこの後ここを通るたびにここに寄ることになるのでした。最近は行ってませんが、あの頃は三重県の津市にある店なのに会員にまでなり、スタンプカードが一杯になってよく割引してもらったものです。
津市は言わずと知れた三重県の県庁所在地です。ひらがなで書くと世界で一番短い都市になります。しかしローマ字に関して言えば「津」は「Tsu」と3字になってしまい、世界はおろか国内でも一番短い地名にはなりません。駅名を探すだけでもOe(小江:長崎本線)、Ei(頴娃:指宿枕崎線)、Ii(飯井:山陰本線)、Ao(粟生:加古川線)など、アルファベット2字の地名はたくさんあるからです。そこで津市としてはどうしても「一番短い地名」になりたいようで、ローマ字表記を「Z」に変えるという提案がなされているそうです。確かに「Z」は「つ」と発音しますからね(例:Mazdaでマツダ)。そうなったら正真正銘の「世界で一番短い地名」になれるのですが、本当にいつかそうなるのでしょうか。
三重大学の前を通り、江戸橋(東京にあるかのような橋ですが、江戸にあるのは日本橋ですね)を渡ると、もう近鉄線の津駅はすぐそこです。次回は「牛肉の街」、松阪へ到着します。