第68回 志賀(滋賀県滋賀郡志賀町)→近江今津(滋賀県高島郡今津町)

平成15年1月5日 曇りのち雪 32.5q 7時間40分

寒くて寒くて、凍え死ぬ!!

 朝6時20分。とにかく寒い!! その一言しかない!! 志賀駅を出発してすぐ「今日はもう引き返そうか」と思ったくらい寒かった…。しかも左手に見える比良山系からはビュービューと暴風が吹き下ろし、目も開けてられないくらい。建物と建物の合間に入ると風がさえぎられてちょっとホッとするくらいの強風でした。この辺りって毎朝こんな感じなんでしょうか…。

 まぁそれでも出発時はまだ太陽が昇っていなかったので、もう少しすれば明るくなって(この季節の6時20分って本当に暗いんです)暖かくなるかなぁと思い歩き続けてみましたが、残念ながらこちらも冬特有の曇り空で太陽の姿はほとんど見えない…。歩き出して1つ目の比良駅ではもう太陽は昇っている時間帯でしたが、その姿は分厚い雲に隠されてまったく見えませんでした。今日は一日中こんななのか!?

 確かにこの辺りは景観は素晴らしいのです。比良山系と琵琶湖。JR湖西線はずっと高架を走り続けていますが、おそらくずっと琵琶湖を眺め続けられる素敵な車窓なんだろうと思います(後年この湖西線を乗り通す機会がありましたが、予想を裏切らない絶景でした)。しかしその景観を補って余りある(こんな言葉の使い方はしないかな?)ほどのこの寒さ!! コートのポケットにつっこんでいた手も徐々に感覚がなくなってきました。

 それでも寒さがやわらいできたような気がしてきたのは次の近江舞子駅を通る頃だったでしょうか。現実にはたぶん単に「感覚が麻痺してきた」だけだと思うのですが、風自体は少し弱まってきたのは確かで、このまま頑張って歩き続けることを決心したのもこの辺りだったような気がします。

 高架線になっているということもあってか、この湖西線の駅はどこも同じような造りで特徴がありません。まぁ僕は「駅舎」自体にはあまり興味はないのですが、駅の構造や駅名標までほとんど同じような駅が続いているので(もちろんロケーションもほとんど同じです)そろそろ歩いていても何かインパクトがほしくなってきました。

 ほどよくここで歩いている県道は国道を挟んで反対側に移るので、景色も少しだけ変化します。ここは少し広くなった北小松駅。「小松」という地区の北部にあるのでしょうが、ちょうど日本地図をそのまま北に上っていくと(もちろん相当離れていますが)石川県の小松市があるので、「小松よりも南にあるのに北小松」という鉄道ファンにとってはちょっと不思議な駅なのです。

 ここまでは比良山系と琵琶湖の間の平野部をずっと歩いてきたのですが、この先(本当に短区間ではありますが)山が琵琶湖岸までせり出してきます。ここではすべての脇道が国道バイパスに合流してしまうため、どうしても国道バイパスを歩かなくてはならなくなります。まぁ「絶対に国道バイパスなんか歩きたくないよ」という人は琵琶湖を泳げばいいんですけど、それはそれで寒いよなぁ…と思いながら琵琶湖面を眺めていると、琵琶湖の中に何か鳥居らしき物が見えてきました。ちょうど広島の厳島神社の鳥居のような(あれほど大きくはありませんが)…。

 この神社は舟に乗って琵琶湖の上から参拝できるように湖上に鳥居があるらしいのですが、もちろん陸地の方に本殿があります。湖上にある鳥居が第一鳥居と呼ばれ、本殿にあるのが第二鳥居らしいです。参道が琵琶湖上にあることになり、しかも国道に分断されてしまっていることになりますが、それはそれでこの神社の名物になっているらしいです。

 ここを境に高島郡高島町に入ります。再び平野部は広くなり、近江高島駅が見えてきます。結構大きめの集落があり、ここらで昼食でもとろうかと思いましたが、民家はいっぱいあるのに食料を調達できそうな店はまったくない。もちろんスーパーもレストランもない。頑張って探してみましたが(僕の探し方が悪かったのかも知れませんが)、結局ここでの昼食は断念することになりました。このことが後々非常に後悔することになってしまいます…。

 雪の積もったバイパスを再び東側に渡り、ここからはじっくり琵琶湖を観察しながら歩を進めていきます。安曇川(あどがわ)町に入ると、今朝のような強風がまたまた吹き始めました。この頃にはもう腹は決まっていて、逆にこの季節特有の琵琶湖をしっかりと楽しませてもらいました。そして安曇川町のさらに風が強まってきた辺りが、スタートからの1400qポストになりました。そして安曇川(こちらは河川の名前です)を渡るとすぐに新旭町になります。

 新旭町は「風車村」という別名があり、あちこちに風車が見えます。JR湖西線の新旭駅にも風車のモニュメントがあるらしいのですが、この辺りはJR湖西線とはかなり離れたところを歩いているので残念ながら確認することはできませんでした。しかしこの道沿いには「道の駅、しんあさひ風車村」という施設があり、さっき食べそこねた昼食をとるためと、寒さしのぎも兼ねて少しだけのぞいていきました。ところが、普通のお土産やさんはありましたが食事をとれそうな店はなく(あっても閉まっていただけかも知れません)、いったん暖まった分だけ、再び歩き始めた時にまた辛い思いをすることになってしまいました。

 お腹はグーグー鳴るし、そろそろ足も限界に近付いてきていましたが、いっこうに次の駅が見えてこない。見えるのは右手に琵琶湖、左手に風車のみ。暖かいスープを自動販売機で買って飲みましたが、体内は暖かくなっても足はどんどん疲労を増すのみで、歩道の積雪も段々と高くなっていき、滑らないように気を遣って歩くだけでも大変でした。

 今津町に入るとようやく湖西線が近付き、今回は湖西線の主要駅の1つである近江今津駅を終着地としました。今津町は琵琶湖西岸の北部に位置する町で、琵琶湖もここまで来ると南岸の大津市や東岸の彦根市と違ってとても静かです。不気味なくらいに…。

 次回はそんな不気味な言われのある琵琶湖北岸を通って、北陸本線の木之本まで到着します。



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