第7回 高宮(滋賀県彦根市)→尼子(滋賀県犬上郡甲良町)
平成11年2月14日 雪 4.0q 0時間50分
バレンタインデーの悲劇
世間はバレンタインデーだというのに、物好きな(世捨て人な)僕は今日もウォーキング! 早朝から勇んで車をとばし滋賀県入り。ところが…
彦根インターチェンジを下りた辺りからものすごい雪。まさに豪雪。チェーンなしのノーマルタイヤでやって来た「怖いもの知らず野郎」はそれでも気にせず出発予定地の高宮駅へ向かう。自分の運転テクニックに自信を持っている奴ほどタチが悪い、ってのは本当ですね。周囲の車に大迷惑をかけながら何とか高宮駅までやって来ました。しかし道路は一面雪。どこまでが道路で、どこが路肩で、どこからが田んぼなのかまったく分からない。しかもノーマルタイヤのため、一度停車すると次に走り出す時にはタイヤが空転し…。
「今日は引き返そうか」と一瞬弱気になったものの、引き返すのも怖いし、第一せっかくここまで来たのに引き返したらガソリン代がもったいないし。…ということで、結局高宮駅付近の道路の路肩(と思われる所)に車を置き、駅までラッセル歩行(ひざまで雪に沈みながら)で進みました。決して大げさではないですよ。こんな経験初めてしました。
とりあえず雪が「積もっている」だけで「今降っている」わけではないので、歩き始めました。駅から少し離れて旧中山道に入ると意外にも雪はそれほど積もっていなくて、また木々も頭上をおおっていて、雪はそれほど気になりませんでした。それにしてもこの辺りの中山道もまた、趣のあるいい道になっているなぁ。
が、しかし! ここで再び雪がチラチラと。しかもアッという間に暴風雪に! やばい。視界が…。そしてさらにコートに雪がどんどん付着。それが融けて水分となりコートがどんどん重くなる…。傘に積もった雪もどんどん重くなる…。たった数メートル前が見えなくなり、足取りもどんどん重くなる…。当然気分もどんどん重くなる…。これ以上は無理か!?
道は犬上川という川を渡ります。頭に思い浮かぶのは横溝正史の「犬神家の一族」(字は違いますが…)。まぁたぶん全然関係ないんでしょうけど、この「犬上川」って名前、なんか多賀大社(前回の旅日記を参照)と関わりがある名前のような気がしませんか? しない人にはしないかも知れませんけど…。そういえばこの辺りの地名も「犬上郡」ですね。
そんな事を考えている間も、雪は相変わらず激しいまま。ついに「次の駅でストップしよう」と決意した旧中山道の、彦根市と甲良町の境界近く(ギリギリ彦根市)が、スタートからの100qポストとなりました。
ほどなく左手に近江鉄道尼子駅。たった4q。時間にしてもたった50分。でもこんなにゴールまでが長く感じたのは第7回目にして初めてかも知れません。ホームで電車を待つこと40分。やっぱり「ガソリン代がもったいないからって無理するんじゃなかった」という思いでいっぱいでした。それでも雪なんて珍しいので、電車を待つ間にホームで小さな雪だるまを作ってみました。あれってなかなか難しいものなんですね。うまく丸くできない…。
この日は言うまでもなく、帰るのも大変でした。チェーンのないノーマルタイヤは周囲から完全に「浮いた」状態で、当然のごとく横滑りしまくり。特に対向車が信号待ちしている所では、「やば!」って場所が幾度も訪れました。事故らなかったのが奇跡でしょう(もちろんこの後、雪道を避けるようになりました。いい経験をしたのかも)。それでも今日歩いた距離を測定するために車で尼子駅へ。まださっき作った雪だるまが残っていて、こちらを見ていました。なんだかちょっと寂しげでした。
次回はもう少し琵琶湖に近づき、歴史の町、安土へ向かいます。