第75回 御油(愛知県豊川市)→新所原(静岡県湖西市)

平成15年5月17日 曇り 23.0q 5時間30分

豊橋市の異空間

 平成15年度は、時習館高校と三谷水産高校にて非常勤講師をしていました。今までの僕の人生は、高校入試、大学入試と特に浪人することなくクリアし、大学での留年もなく、そして大学卒業と同時に私立高校に就職しましたから、この1年は人生にとって初めての「空き時間の多い」1年になっていました。

 ということで次の旅は「どこか遠くへ行こうかな」とも思いましたが、もし今年度公立高校の採用試験に受かり、赴任先が遠かったりしたら困るなぁ…と思い、静岡県を1年間かけてぐるっとまわって帰ってくる小旅行にしようと計画しました。ということでまずは静岡方面に向けて出発です。

 早朝5時に御油の家を出発し、国道1号線をひたすら東に向けて歩きます。小坂井町の豊川放水路を渡る手前の宮下交差点を越えた地点が、スタートからの1600qポストになりました。その先、国道1号線は豊橋でいったん左折し、路面電車とともにしばらく走ります。ちなみに国道1号線上を路面電車が走っているのはここだけです。この辺りまで御油から約10q、2時間半。

 豊橋市はやはり広く、豊橋市街を離れてもまだまだ国道1号線は豊橋市内を走り続けます。殿田橋、岩屋観音下、と徐々に愛知県の東端に近付いてきて、ここからはJR東海道本線に沿って県道に入ります。この二川地区はまだ愛知県の豊橋市内でありながら、豊橋市の中心部とはちょっと違った空気があります。何というかとにかく落ち着いた雰囲気です。左手には豊橋地下資源資料館が見えてきます。後日ここにも訪問してみましたが、「資料館」というよりは「地域館」といった感じでほのぼのとした館内でした。しばし読書を楽しんだりもでき、なかなかいい所です。

 県道から右手に曲がるとようやく二川駅が見えてきます。二川駅は豊橋駅の次の駅で、この駅は旧東海道の二川宿の端にあり、土日に使える、JR東海「青空フリーパス」の東端となる駅でもあります。古くの宿場町をイメージした瓦の駅舎があり、そこを過ぎると道も細くなり旧東海道の面影がいきなり倍増します。小さな商店が建ち並び、右手には二川本陣資料館。

 「本陣」とはかつて大名行列の宿泊を許された立派な旅館のことです。ちなみに「脇本陣」というものもあり、これは大名行列が重なりどうしても本陣に空きが無かった時に使う宿のことです。そのような立派な宿が建ち並んでいた、その光景を眺めることは今ではもうできませんが、資料館を含めたこの街道沿いの様子は、往時をしのぶに余りあります。ここが「豊橋市」だということを忘れてしまいそうです。

   

 二川の宿場を抜けると、道は再び県道に合流し、ビュンビュンと走る自動車とともに愛知県にしばしの別れを告げます。まずは静岡県湖西市。近隣の市町村が次々と浜松市に合併されていく中で、頑張って現在も独立(!?)を保っているすばらしい市です。湖西市に入るとすぐにJR東海道本線の新所原駅があります。この駅はホームの二川側に愛知県と静岡県との県境があるという、正真正銘の「県境駅」です。静岡県西部の浜名湖北岸を走る天竜浜名湖鉄道もこの駅から北へ向かって分岐しています(天竜浜名湖鉄道については第23回の旅を参照)。

   

 今回はとりあえず静岡県に足を踏み入れたところで、いったん終了しました。次回から14回連続で静岡県の魅力を満喫します。



第74回へ←   →第76回へ

静岡中西部巡りトップへ戻る
旅のページトップへ戻る