第86回 本川根千頭(静岡県榛原郡本川根町)→川根家山(静岡県榛原郡川根町)
平成15年12月10日 晴れ 28.6q 6時間40分
変わった「地名」
秘境地域のウォーキングも一区切りつき、少しずつ人口の多い地域へ戻って行きます。電車の車両も、前回の路線よりは堅固な感じのものになり、集落も駅ごとに存在するようになってきます(まぁ本当は当たり前のことですが)。今回は千頭駅を朝7時30分に出発しました。
本川根町から中川根町に入ると駿河徳山駅があります。近くに川根高校があるらしく、高校生がたくさん闊歩していました。視界も少しひらけ、大井川も気持ちよく流れているようです。道の駅「フォーレなかかわね茶名館」があり、車が何台か入っていきました。道の駅は徒歩旅にはあまり関係ない施設なのですが、たいがい周囲に店が少ない箇所にあるので、空腹時や尿意をもよおしているときには助かります。
左手に田野口駅が見え、自分の車がきちんと駐車されているのを確認しながら(今回もこの駅に置かせてもらいました)、茶畑の中を歩きます。同じ茶畑でも牧ノ原台地とは違って少し哀愁のある茶畑です(分かりますかね、このニュアンス…)。
ここでちょっと気になることが起きました。普通に歩いていると何だか心臓がバクバクする…。これが「動悸」ってヤツ!? 少しだけ道ばたに座って休むと、とりあえず動悸は治まりました。しかしこれは何だったんだろう? これ以降も(歩いている時に限らず)時々、心臓動悸は起きますが、変な病気でしょうか? それからすでに6年近く経っても生きているから大丈夫だとは思いますが…。
中川根町役場を通り過ぎると道は二手に分かれます。分かれるとは言っても大井川の両岸に分かれていくだけです…。右岸の方が国道になるので(もちろんこちらがメインルート)、今回も左岸の方を歩くことにしました。分かれる辺りに下泉駅があります。ちなみに右岸の国道の方を走るとさらに右手に分かれ道があり、これが山道を越えて秋葉山を通り、最終的には姫街道となって豊川市に至る国道362号線になります。僕は一度だけ車で走ったことがありますが、二度と通りたくないような大変な山道でした。
僕のウォーキングは大井川を右手に見ながらゆるやかな県道を歩いていきます。次の駅は塩郷(しおごう)駅。ここには塩郷ダムというダムがありますが、それと並んで観光名所として有名なのが久野脇橋、通称「塩郷の吊り橋」です。長さ220.4m、高さ10.4mで、大井川にかかる吊り橋の中では最長。180°大井川を見渡すことができ、山々からの風を体で受け止め、大自然に包まれることができる吊り橋です。この吊り橋は地元住民も頻繁にに利用しており、自転車も通ることができます。もっともかなり怖いですが…。興味のある人はぜひ出向いて渡ってみて下さい。僕は前回も書いたとおり高所恐怖症ですから、見るだけにしました。
さらに大井川鉄道は併走し、次の駅は地名駅。えっ!? 「地名」!? と思いきや読み仮名を見ると… 地名(じな)! へぇ、「ちめい」と書いて「じな」と読むとは! なかなかいい「地名」ですね。そしてこの素敵な忘れられない地名駅の近くが、スタートからの1850qポストになりました。
本川根町、中川根町と続いて、今度はただの川根町に入ります。視界はいったん山に閉ざされ、狭くなった谷間に川根温泉笹間渡(かわねおんせんささまど)駅があります。県道沿いから見ても、なかなか歴史と味のあるいい駅舎です。そして山が途切れると再び視界がひらけ、右手の大井川の川辺に道の駅「川根温泉」があります。最近できた新しい施設で、結構きれいな温泉があるらしいことは外観から分かりましたが、この日はまだ先の道程もあるので、近くにあるカレーライス屋さんで食事をしながら眺めるだけにしました。後日、温泉に入りに行ってみましたが、平日の昼間だったせいか地元のご老人ばかりで「う〜ん」という感じでした。
この後いったん大井川の右岸に渡り、大井川鉄道の中では大きな駅にあたる家山(いえやま)駅に到着しました。今回はこの家山駅が終着地となります。まだお腹の中にカレーライスが残っていたので、電車待ちの間にその辺をウロウロしていました。いっぱしの商店街もあり、静岡最果ての井川からだいぶ中心部近くに戻ってきてしまったような気がして、少し寂しくなりました。
次回はとうとうJR東海道本線に合流してしまい、大井川沿いの川根路の旅も終わりを告げます。