第97回 新田(岐阜県関市)→深戸(岐阜県郡上市)
平成16年9月4日 曇り時々雨時々晴れ 27.9q 6時間20分
二度とつながらないカップル路線…
前々回は名鉄竹鼻線、前回は岐阜市内線と、2回続けて廃線となった鉄道を紹介しました。都会のにぎやかな鉄道の満員電車からは想像できないような鉄道物語が、日本にはまだまだたくさんあるのです。そして今回から並行して歩く長良川鉄道も、廃線にこそなってはいないものの実は悲しい物語を秘めています。
長良川鉄道はもともと越美南線という名称(現在も正式名称はそのままです)で、JR高山本線・太多線の美濃太田駅から郡上市北部の北濃(ほくのう)までを結んでいます。途中の中心駅としては、関、美濃市、郡上八幡、美濃白鳥などがありますが、やはり乗降客はあまり多い方の路線ではありません。
さて、岐阜県ではありませんが、越美南線と似た名称の「越美北線」という路線もあるのをご存じでしょうか。こちらはJR北陸本線の福井駅を出発し、岐阜県との県境近くの九頭竜駅までを走っています。出発地はまったく違うものの、お互いの終着駅は地図上で見ると結構近くにあるのです。
名称からも推測されるように、この越美北線と越美南線は当初は岐阜・福井の県境でつながる予定でした。つながった上で「越美線」という名称にしようという考えもあったようです。しかしこの県境はかなり険しい山岳地帯な上に、乗降客もあまり見込めないということで、ついにこの接続は実現しませんでした。今は越美南線の方がJRから切り離されて私鉄になってしまっているので、もうこの二本の路線は二度とつながることはないでしょう。何だか寂しい限りです。越美南線の方は、そのような「過去」を忘れたいかのように、前述の「長良川鉄道」という愛称に変えてしまいました。
今回のウォーキングはその長良川鉄道の美濃市駅に車を置き、いったん長良川鉄道で関駅まで来て、少し(150mほど)歩いて隣の名鉄美濃町線の新関駅まで行き、そこから1駅だけ名鉄を利用して新田駅へ向かいました。前回も書いたようにこの直後に名鉄美濃町線は廃線となってしまったので、結局この日の「新関駅〜新田駅」の乗車が、僕にとっての最後の美濃町線乗車になってしまいました。
いつものように(そろそろくどいかな?)すぐ近くのコンビニで体の中の老廃物を「デト」してから出発しました。やはりしっかり出すと、実感できるほど体が軽くなります。「出すって大切〜!!」
ここからは国道156号線を北上します。美濃市に入り、東海北陸自動車道の美濃インターチェンジを過ぎると道は細くなります。この辺りからはトンネルに出たり入ったりを繰り返しながら、右手に流れる長良川を堪能できます。また岐阜市街地からも完全に離れ、いよいよ「日本の屋根」を実感し始めることができるのもこの辺りです。
天気はあまり良くはなかったのですが、この日は歩いている僕の横を何グループものツーリング集団が追い越していきました。ところで長良川鉄道は、地図上にはひらがなで名称が記してある駅が多いので、実際に歩いて駅の表示板を確認すると「へぇ〜、こんな漢字を書くんだ!」ということがよくあります。例えば「せきしもうち」。これは「関下有知」となります。「すはら」は「洲原」。さらに想像するのが難しかったのは「はんの」が「母野」であり、「こんの」が「木尾」。まぁ読んで読めないことはないですが…。そして「はんざい」という駅はどう書くのかなぁと思ったら「半在」でした。なかなか見慣れない地名が続きます。
途中「道の駅美並」で少しだけ休憩をとりましたが、ここでもまたまた円空仏に出会いました。いくつかの説があるものの、美並は円空の出生地である可能性が高いそうです。そう言えば、東海北陸自動車道の美並インターチェンジのランプウェイにも円空仏が建っていますね。
時々雨もぱらつく中、昼過ぎに無事に深戸駅まで到着しました。今までの場所よりほんの少しひらけた所にある駅で、長良川もここではほんの少しだけゆったりと流れているように感じます。この駅舎には喫茶店が併設されていて、待ち時間が1時間近くあったのでここで冷たいコーラを飲んでくつろぎました。実はこの喫茶店には「日替わり弁当」というのもあって、写真を見る限り結構おいしそうでしたが、歩いた直後だけにあまり食欲がわかずこの日は注文しませんでした。一度食べてみたいなぁと思いながら、しかしこの後、結局一度もここのお弁当を注文したことはありません。
次回はさらに北上して郡上八幡を抜け、大日岳を控えた美濃白鳥に到着します。