第98回 深戸(岐阜県郡上市)→美濃白鳥(岐阜県郡上市)

平成16年9月11日 曇り時々雨のち晴れ 28.4q 6時間20分

クモの巣窟へ!

 二学期も始まって間もない9月。しかし天候はあまり良くなく、今にも雨粒が落ちてきそうな曇り空でした。前回のウォーキングもあまり天気は良くなかったのですが、木曽路同様この美濃路も、灰色の空に包まれると本当に重苦しい空気が広がります。両側を山に挟まれている分、空にまで雲が広がっていると圧迫感を感じるんですかね。

 深戸駅を出るとすぐにスタートからの2150qポストを通過し、再び集落の無くなった長良川岸を歩きます。今回のコースは中程にある郡上八幡、郡上大和と、ゴール予定の美濃白鳥地域以外にはほとんど集落はありません。長良川鉄道の駅自体は所々にあるのですが、道にはほとんど歩行者はいないようなものです。

 まずはその郡上八幡駅へ。ここはご存じ「郡上踊り」が有名な町で、もともとは郡上郡八幡町だったのですが、現在は近隣の町村と合併して郡上市になっています。郡上踊りはあくまでも「盆踊り」なので、開催されるのは7月中旬から9月初旬まで。ということでこの日はすでにその期間が終わってしまっており、とても静かな町並みでした。ちなみに8月のお盆の3日間には、夜を通して「徹夜踊り」も行われるらしいです。

 郡上八幡駅、郡上八幡インターチェンジを横目に見ながら、早くも集落は視界から消えてしまいます。左手に自然園(まぁ恐らくキャンプ場のようなものだとは思いますが)と呼ばれる施設が現れ消えると、いよいよ道は自然道そのものとなります。ここまでずっと歩道を歩いてきたのですが、ここから先は歩道が車道よりも3mほど高いところを通ります。それほど車の通りがあるわけでもないので、わざわざ高いところに上がることはせずにこのまま車道の脇を歩こうとも思いましたが、せっかく歩道がある(しかも屋根のある洞門だから雨の心配もしなくていい!)のだからと思い直し、スロープから歩道へ上がっていきました。

 しかし結果から書くと、これは大失敗でした。この日の涼しさに包まれて忘れてしまっていましたが、この日はまだ9月前半。この歩道の洞門の中には大量のクモが所狭しと巣を張っていました。普段あまり人通りがなさそうな歩道だけに、クモの巣は通路全体に張り巡らされている箇所もあり、持っていた傘で前方を引っかき回しながらゆっくりと歩いていくこととなりました。別に毒グモではないのだから引っかかってもいいのですが、やはりクモの巣にかかっていい気はしませんよね(まぁクモの方もせっかく張った巣を破られるのはイヤでしょうが…)。

 それでも何とか30分ほどかかってクモの巣窟から抜け出し、車道と同じ高さに下りてきました。しかし前方を見ると再びスロープが見え、高いところに洞門付きクモ巣窟が! もちろん今回はそこへは上がらずに、車道の脇をトボトボと歩きました。思いのほか時々大きなトラックも通りましたが、「クモの巣窟」よりはよほど快適に歩くことができました。

 郡上大和地域にやって来ると、左手に久しぶりのコンビニが見えてきました。涼しいとは言うもののやはりまだ夏なので、アイスクリームを買って道ばたで座って食べました。ここで心配していた雨が、灰色の空からポツポツと…。前述のように傘は持っていましたので、さっきまで「武器」になっていた傘は今回は本来の用途として活躍しました。…にしても、曇った涼しい日に、道ばたに座り傘を差してアイスを食べる僕の姿は、はたから見るとどんなんだったでしょうね。

 いよいよ美濃白鳥も近くなり、雨も少し小降りになってきました。長良川鉄道も再び国道に接近し始め、駅も少しだけにぎわいを見せ始めます。左手には大中(おおなか)駅。美濃白鳥駅の2駅手前の駅です。「おおなか」とはちょっと変わった地名ですが、普通ならあえてこの旅日記に載せるほどではありません。しかしこの大中地区には郡上市立の小学校があります。ちょうど国道沿いだったので歩きながら見ることができたのですが、この小学校、その名を大中小学校と言います。あちこちに略して「大中小(おおなかしょう)」と書いてあります。そうか、略すと「大中小(だいちゅうしょう)」になるんですね。後から車で計測した際、僕のカーナビにも「大中小」と記されていました。う〜ん、大中小…。

 そう言えば第32回の旅日記で、山梨県の「南アルプス市」というのを紹介しましたが、この地域の南アルプス中学校も略すと「アル中」になるんですかね?? まぁ南アルプス中学校って学校があるのかどうか分かりませんが、れっきとした「市名」なのですからあっても不思議はありませんよね。やはり何でも合併し、何でも省略するというのは、いいことではないような気がしてきます。

 本降りになることもなく、無事に美濃白鳥駅へ到着。目の前にはどっしりとした大日岳が迫ってきました。次回はひるがの分水嶺を越えて荘川まで、同じ岐阜県でも美濃地方から飛騨地方へ入っていきます。



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